01. アルマ望遠鏡ウェブページ案内

(国立天文台ニュース 2010年6月号掲載)

今回から新しい連載がスタートします。ALMA推進室で働く職員のリレー連載です。ALMA(アルマ)とは、南米チリに建設中の世界最大の電波望遠鏡。日本が主導する東アジア、北米、ヨーロッパ、建設地のチリ共和国が協力して進めている国際共同プロジェクトです。2012年度と間近に迫った本格運用を前にした今、研究者や開発者は何をしているのかを皆様にお伝えしたいと思います。

第1回目は、先日リニューアルしたウェブサイトについてご紹介します。これまでもALMA推進室では、アルマ望遠鏡計画の最新情報を皆様にお知らせするためにウェブサイトで情報を発信してきました。今回のリニューアルとともに、より一層充実した内容をお届けします。

アルマ望遠鏡ウェブサイトのトップページ。

今回のリニューアルでは、アルマ望遠鏡計画の目的や進捗状況のご報告だけでなく、アルマについてわかりやすく解説したページを新たに設けました。アルマについて詳しく知りたい方は、「新しいウィンドウで開く アルマについて 」というカテゴリをご覧ください。「新しいウィンドウで開く アルマ望遠鏡 」という解説ページでは、日本が推進してきた電波天文学の歴史、観測地である南米チリのアタカマ砂漠の調査の様子、アルマが観測する電波で見た宇宙の姿、といったアルマをとりまく様々な情報を、多くの画像を用いながらわかりやすく解説しています。

「アルマ望遠鏡」のページ。アルマ計画の全体像がわかります。

そして、「新しいウィンドウで開く アルマチャンネル 」は、映像コンテンツです。運用が始まると、今までにない性能を誇る電波望遠鏡、アルマが一体何を解き明かしていくのか。アルマが挑む宇宙の謎について解説します。アルマ計画に携わる研究者が、直接語りかけます。

「アルマチャンネル」では、研究者が直接、アルマの成果を語ります。

また、南米チリへの旅を写真でたどるバーチャルツアー「新しいウィンドウで開く アルマへの旅 」もあります。日本からは遠い南米チリまでの旅の風景を楽しむことができます。建設の最新情報は現地の写真と共にお伝えしています。

新しいウィンドウで開く アルマ通信 では、各国のアルマにまつわる出来事など、楽しい話題を写真と共にお伝えします。その他にも、新しいウィンドウで開く マルチメディア ではアンテナと星空の美しい画像や、建設記録映画などを公開しています。皆さんもぜひ、このウェブサイトを通じて、アルマが明らかにしていく宇宙像に触れてみてください。

アルマ望遠鏡の最新情報は、新しいウィンドウで開く アルマ・メールマガジン でお届けしています。ぜひ、ウェブサイトからご登録ください。twitterアカウント 新しいウィンドウで開く @ALMA-Japanも運用しています。

国立天文台ALMA 推進室では、実に様々な人が働いています。その数はアルマ望遠鏡の建設が進むにつれて増え、今では総勢70名(2010年6月現在) を超える大プロジェクトに成長しました。プロジェクトを支える人々は天文学者だけではありません。例えば、日本が担当している受信機の製造は国立天文台三鷹キャンパスの中で行っていますが、ここでは経験豊かな技術者が活躍しています。究極の電波望遠鏡といわれるアルマの性能を発揮するためには、今までにない、新たな技術開発が不可欠です。技術者は、まだ見ぬ宇宙の果てからやってくる電波を受信する装置の開発に日々、取り組んでいます。

研究者や技術者の中には常時、チリへの赴任者や出張者がいます。現在は日本で製造されたパラボラ・アンテナをチリへ輸送し、山麓施設(OSF)と呼ばれる標高約2900 メートルの地点でアンテナの試験評価をしています。数々の試験にパスしたアンテナは、順次、標高約5000 メートルの山頂施設(AOS)に運ばれます。研究者はそのアンテナの試験や、アンテナが科学的な観測が可能な基準を満たしているかどうかの評価作業を行っています。

また、そのような研究を支える立場の人も多くいます。国際共同プロジェクトであるアルマでは、各国とのコミュニケーションが欠かせません。そのため、英語を扱う専門家もいます。時にはチリ現地の公用語であるスペイン語を使うこともあるそうです。また、とても標高の高い観測地に精通した安全管理の専門家や、アルマで使う様々な物品の輸送に長けた専門家もいます。これら、アルマを支える人々にも連載を担当してもらう予定です。終了時期は未定で始まったこの連載。長い間、皆様に愛されますように。

※ 人物の所属や肩書き、組織の名称等は、執筆当時のものです。