2018年7月5日に一橋講堂で開催された国立天文台創立30周年記念式典において、第1回国立天文台若手研究者奨励賞が発表され、チリ観測所の浅山信一郎准教授が栄えある受賞者に選ばれました。
研究テーマ:ミリ波サブミリ波干渉計における高感度受信機の開発研究とシステム科学評価の推進
1988年に創立された国立天文台は、2018年に30周年を迎えました。これを記念して創設されたのが、国立天文台若手研究者奨励賞です。この賞は、優れた研究業績を上げている若手研究者であり、かつ将来国内外で研究リーダーとして活躍することを期待される国立天文台の若手研究者に授与されます。
浅山氏は、学位取得後すぐにアルマ望遠鏡バンド4受信機(観測波長 2mm)開発チームのリーダーに着任し、極限の性能が求められる受信機開発を主導し成功に導きました。また自身の研究として、導波管型サイドバンド分離超伝導ミクサの開発および小型偏波分離器の研究開発を行い世界最高感度の検出器を実現しました。さらにその成果を日本のミリ波電波天文学用受信機に還元し、国際水準の受信機に一新することに貢献しました。
2009年よりチリに赴任し、建設中であったアルマ望遠鏡システム評価の中心メンバーとして活躍したのち、2011年よりエンジニア部門に移り、サブミリ波帯におけるアルマ望遠鏡の安定的な観測を実現しました。今回の受賞は、エンジニアリングから天文観測まで行える合同アルマ観測所内の唯一の研究者としての浅山氏の大きな功績をたたえるものです。
受賞に際して浅山氏は「国立天文台若手研究者奨励賞の第1回目の受賞者に選ばれたことは、大変嬉しくかつ光栄に思います。国立天文台に着任直後に、バンド4受信機リーダーとして世界最高水準の受信機研究開発を推進させていただけました。また合同アルマ観測所国際職員として、アルマの建設や科学評価に主体的に貢献できる機会に恵まれたことに感謝しています。これまでの研究開発活動で、御指導・御協力頂いた方々、またチリ赴任生活へご支援いただいている皆様に改めて御礼申し上げます。この受賞を励みに、さらに研究活動に邁進しつつ、将来の天文学に貢献できる成果を出し続けていく所存です。」とコメントしています。