今回は、サンチャゴのアルマ(ALMA)オフィス周辺の風景をご紹介します。最終的なアルマオフィスはESO(欧州南天天文台)オフィスの土地の中に新たに建設されることになっていますが、それまでは仮住まい状態です。現在、アルマオフィスは二つのビルに分かれています。写真 1 の中央に見える 19階建てビルの 18階フロアが主オフィス(El Golfオフィス)で、ここではアルマプロジェクトのディレクター、プロジェクトマネジャー、事務長を始め、30名くら
いのスタッフが働いています。暫定プロジェクトマネジャーの長谷川哲夫さん、ALMA推進室チリ事務所長の小笠原隆亮さん、所員の池之上文吾さん、田部ジョージさんがこのフロアで仕事をしています。
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写真1:Alsaciaオフィスのエレベータから見たアルマの主オフィス(正面の19 階建てビルの 18階の全フロア)。直下に見えるのはスペイン大使館。 |
私のオフィスは、スペイン大使館を挟んで反対側にある 20階建てビルの 19階にあります(Alsacia オフィス)。Alsacia オフィスには、アルマの装置の立ち上げを担当する科学者や技術者を中心に 40名くらいのスタッフがいることになっていますが、前回お話ししましたように、これらのスタッフはシフト制でアタカマのアルマ建設現場で働いていますので、実質の滞在人数は3分の1くらいです。この付近では、アルマオフィスをはじめガラス張りの高層ビルが流行しており、近くで建築中のビルにもガラス張りのものがよく見られます。ガラス張りの高層ビルは一見スマートな感じがしますが、地震の時に大丈夫だろうか?と窓の外を見ながら心配しています。冬季は、悪名高きスモッグのために、なかなか遠くを見通すことが困難ですが、今年の冬は雨が多いせいか、雪化粧をしたアンデスの山々がくっきり見えます。
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写真2:Alsacia オフィスの窓から見るアンデスの山々。 |
サンチャゴ市内は街路樹が豊富で、それらが夏の強い日差しを防いでくれます。夏季は雨がほとんど降りませんが、木々は元気に育っており、しかもとても太い幹や高い木があるので驚かされます。アンデスからの雪解け水が豊富なのと、市民が街路樹の水遣りに熱心であるせいだと思っています。私のアパートからオフィスまで歩いて20分ほどでいけますので、時には遠回りしたりして、珍しい木や花を見ながら通勤しています。調布から天文台まで、野川沿いを歩くのに比べると自然味に欠けますが、それでも歩いたり、走ったりするのが楽しい道があります。そのひとつがPocuro通りです(写真3)。この通りはとても良く設計されており、自動車専用道路、自転車専用道路、歩行者専用道路が分離されているので、自転車乗り、散歩、ウォーキング、ジョギングをする人々にとっては、とても気持ちがいい道路です。日本の道路財源もこのような道路を作るのに使って欲しいと思いながら、週末には、このPocuro通りを往復で5kmくらいランニングしています。
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写真3:Pocuro 通り。自動車、自転車、歩行者それぞれの専用道路が分離されている。 |
サンチャゴに住み始めた最初の頃は、オフィスに通勤するのに、わざわざ大回りをして、できる限り違う道を歩くようにしていました。そのおかげで、サンチャゴの地図がよく頭に入るようになりました。サンチャゴの主要な公共交通手段は地下鉄とバスですが、料金の支払いはカードシステムのみに統一され、地下鉄-バス間の乗り継ぎが可能であるなど、システムはいたってシンプルです。しかも料金は隣の駅も終点も同じ料金で出口の改札はノーチェックです。日本のきめ細かなシステムとはとても対照的で、カルチャーの違いを感じるところです。