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ishiguromasato
現国立天文台名誉教授
執筆時 合同アルマ事務所 JAO (Joint ALMA Office)国際職員
元アルマ推進室室長
石黒 正人


アルマ建設現場の風景 その1
(2008.6)
アルマオフィス付近の風景
(2008.7)
アルマ建設現場の風景 その2
(2008.8)
サンチャゴの木と花たち その1
(2008.9)
サンチャゴの木と花たち その2
(2008.10)
アタカマの雲たち
(2008.11)
サンチャゴ犬も歩けば・・・
(2008.12)
アルマ建設現場の風景 その3
(2009.1)
アタカマ砂漠の思い出
(2009.2)
チリ、北から南へ
(2009.3)



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アルマ建設現場の風景 その3

 世界各地の担当機関で製造され、チリに輸送されてくる装置類が増えつつあり、アルマ山麓施設(OSF)で働くAIV(Assembly Integrationand Verification)チームは一段と忙しくなってきました。今回は、AIVに携わるスタッフの活動の一面をご紹介します。今年の6月段階ではチームメンバー数が30名でしたが、2008年11月には40名ほどに増えました。ほとんどのメンバーが2週間を8-6シフト(8日勤務、6日休暇)に従い、半数の約20名が山麓施設に泊り込んで働いています。一部のスタッフを除いて毎週水曜日にチームが交代し、仕事を引き継ぎます。スタッフの多くはチリ人のエンジニアやテクニシャンですが、外国の大学で教育を受けたり、外国企業で働いた経験がある人が多く、英語はとても達者で、スペイン語を知らなくても仕事を進める上ではまったく問題ありません。中には日本語ができるチリ人スタッフもいて、彼がときどき開く日本語講座では、私も日本文化の紹介を兼ねて協力しています。
 現在のAIVチームは、主にアンテナの鏡面精度・指向精度の測定・評価や受信機のアンテナへの搭載、制御ソフトウエアの検証などの仕事を行っています。アンテナの鏡面精度の測定は、電波ホログラフィという手法を使います。アンテナから300mほど離れた鉄塔の上に設置された波長3mmの発振器からの信号を受け、アンテナを2次元にスキャンして得られたデータから鏡面誤差のマップを計算します。ミクロンオーダーの測定精度が要求されるので、地面からの反射波の影響や、電波の伝搬路のゆらぎなどの誤差要因を低減しなければならない苦労があります。ホログラフィの測定を行う時は、アンテナの1次焦点付近に設置されている副鏡を外し、専用の受信機を搭載します。このときは、写真1のようにスタッフがマンリフトに乗って焦点付近まで行き、クレーンで装置を吊り込みます。

釣り込み作業
写真1:ホログラフィ受信機の釣り込み作業

 このとき鏡面を傷つけないようにしなければならないので、かなり神経を使う仕事です。このほか、小口径の光学望遠鏡をアンテナに搭載して、指向補正データの取得も継続して行われています。
 最も大変な仕事の一つは、受信機フロントエンドのアンテナへの搭載です。全部で700kgものフロントエンドをアンテナの受信機キャビンまで持ち上げ、キャビン内の天井に固定します。テレハンドラーという建設機械を使い、10m先で数ミリのコントロールができる熟練したオペレータが地上からキャビンまでフロントエンドを持ち上げます(写真2)。

FE搭載作業
写真2:アンテナへの受信機フロントエンドの搭載作業

 その後、人力でフロントエンドをキャビン内に引き摺り込み、細かい位置調整をしながら、電動フォークリフトを使って天井近くまで持ち上げます。昼間このような気を使う仕事をしスタッフ達も、夕食後は、ギターやケーナの演奏や歌を合唱してリラックスします(写真3)。盛り上がると、ゴミ箱をドラムの代わりに叩いたりして、実験室内は大騒ぎとなります。

大合唱
写真3: 実験室内での大合唱

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