アルマ望遠鏡現地について

Q どこにあるの?
A

アルマ望遠鏡は、南米チリ北部のアタカマ砂漠、チャナントール高原の中にあります。標高は5000mです。

Q なぜチリに作ったの?
A

宇宙からやってくる天体の電波をとらえるために世界中で一番いい場所だからです。
電波を吸収する水蒸気が少なく乾燥していること、たくさんのアンテナを並べることができる広い平らなスペースがあることが大きな理由です。
他にハワイや中国なども候補に挙がりましたが、チリの標高5000mの高原が選ばれました。

Q どんな環境なの?
A

標高5000mのため空気が薄く、標高0mの平地と比べると空気は約半分しかありません。雨が少なく、とても乾燥しています。強力な日差しによる日焼けにも気をつけなければいけません。5000mの山頂施設で働くアルマ望遠鏡スタッフは、いつも酸素ボンベを携行している他、医療スタッフが常駐するなど安全管理に万全の態勢を敷いています。

Q 日本からどのくらいで行けるの?
A

チリは日本からはちょうど地球の反対側にあたり、首都のサンティアゴまででも飛行機の乗り継ぎ時間を含めると30時間以上、アルマの山麓施設までは1日半以上かかります。

Q 見学できるの?
A

望遠鏡がある山頂施設(標高5000m)は、安全上の理由から一般見学はできませんが、機器のメンテナンス、望遠鏡の遠隔操作を行う山麓施設(標高2900m)は週末に一般見学が行なわれています。事前申込が必要なため、詳しくは一般見学をご覧ください。

どのように観測しているの?

Q なにが見えるの?
A

アルマ望遠鏡は、宇宙にある天体からの電波をとらえる電波望遠鏡です。
望遠鏡はその種類によって、とらえる光や電波の波長が異なり、それぞれ違った宇宙の姿を描き出します。例えば、ハワイのすばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡は私たちが目で見るのと同じ「光」を見ています。他にも赤外線、紫外線、エックス線、ガンマ線などを見る望遠鏡があります。
アルマ望遠鏡は、ミリ波、サブミリ波という電波をとらえ、星の材料となる塵(ちり)やガスを観測することができます。

Q 誰が使えるの?
A

アルマ望遠鏡は世界中の研究者による共同利用という制度をとっています。アルマ望遠鏡を使って行う研究テーマは公募され、審査会で優先的に実行する観測プログラムを決定します。
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観測時間は、アルマ望遠鏡に参加する北米と欧州南天天文台(ESO)加盟国に全体の約3割ずつ、東アジアに約2割、建設地であるチリに約1割、これら以外の地域の研究者に最大で5%が配分されます(Open Sky枠)。北米・ESO加盟国・東アジアの配分割合は、アルマ望遠鏡建設・運用に対する各地域からの貢献割合に応じた数字になっています。
アルマ望遠鏡はこの制度によって、特定の国や研究機関に限ることなく、すべての人に開かれた望遠鏡になっています。
最初の観測提案募集は2011年3月に発表され、2011年9月から観測が始まりました。現在は1年間の「観測サイクル」をもとに、世界中の研究者から観測提案を募って観測を実行しています。

Q チリまで行って観測するの?
A

観測は各研究者ではなく、チリの合同アルマ観測所に所属する専門の天文学者と望遠鏡オペレーターによって行なわれます。研究者は観測提案を提出して採用されれば、あとはデータが送られてくるのを待つだけです。日本にいながらにしてアルマ望遠鏡を使って最先端の研究をすることができます。

Q 一部の人しか使えないの?
A

世界中から寄せられた多くの観測提案を勝ち抜き、観測時間を獲得するのは簡単ではありません。望遠鏡で得られた観測データはまず提案した研究者に送られますが、その1年後には専用のサーバーに保管され、世界中からアクセスできるようになります。つまり、過去の観測データを使った研究は誰でもすることができ、同じ観測データを違うアプローチによって複数の研究に使用することも可能です。
また、アルマ望遠鏡は3つのアルマ地域センターを設置し、研究者を支援しています。東アジアの地域センターは日本の国立天文台に設置され、日本を始め東アジアの研究者をサポートしています。これによって天文学以外の分野の研究者もアルマ望遠鏡を使うことが期待されています。

なにがすごいの?

Q 誰が作ったの?
A

アルマ望遠鏡は、世界中の国々が人と技術と資金を出し合って建設されました。具体的には、東アジア(日本、台湾、韓国)、北米(アメリカ、カナダ)、欧州南天天文台加盟国(16カ国)と建設地のチリです。
今までの望遠鏡は主に1つの国や大学などの研究機関が独自に作り、使ってきましたが、それでは実現できない高性能な望遠鏡を作ろうということで生まれたのがアルマ望遠鏡です。
国際的に協力して1つの巨大望遠鏡を作ろうという動きはこれからの主流となりつつあり、アルマ望遠鏡はパイオニア的な存在でもあります。
アルマ望遠鏡は国際協力によって実現した、まさに「人類の望遠鏡」です。

Q 日本は何をしているの?
A

東アジア地域を代表する日本は、16台のパラボラアンテナと受信機、相関器からなるシステム、モリタアレイを開発しました。
口径12mアンテナ4台と口径7mアンテナ12台の計16台のパラボラアンテナ、3種類の受信機、16台分の電波を処理するスーパーコンピューター(相関器)です。
開発には日本の高い技術力が存分に注ぎ込まれました。
現在は約20人の研究者、技術者が日本から出向き、アルマ望遠鏡の運用に携わっているほか、日本国内ではさらなる性能向上に向けた将来開発計画も進めています。

Q どのくらい大きいの?
A

アルマ望遠鏡は66台のパラボラアンテナを並べ1つの大きな望遠鏡として使用する干渉計方式の電波望遠鏡です。アンテナを並べる範囲は最もコンパクトな時で約200m四方、最も広範囲に並べると直径16kmに及びます。これは東京の山手線の範囲に匹敵し、口径16kmの電波望遠鏡に相当する解像度を有することになります。

Q 他の望遠鏡よりもすごいの?
A

同じミリ波・サブミリ波を観測するの他の電波望遠鏡と比べて、アルマ望遠鏡は世界最高の性能を誇っています。他の望遠鏡に比べて、非常に微弱な電波を受信する感度が約100倍高く、人間の視力にあたる解像度が数十倍高いことで、宇宙の姿を高精細に描き出すことができます。

Q いくらかかったの?
A

総建設費は約1500億円です。日本の分担は約250億円であり、装置開発や人的な貢献を総合すると貢献割合は全体の1/4となります。また年間運用経費として、日本は全体の1/4の約30億円を分担しています。

Q なにがわかるの?
A

アルマ望遠鏡は3つの大きな謎の解明を目指しています。
1. 銀河の誕生の秘密、宇宙138億年の歴史を解き明かす。
2. 惑星誕生の現場を鮮明にとらえ、そのプロセスを解明する。
3. 宇宙に存在する物質を詳しく分析し、生命の起源との関連を探る。
この他にも様々な分野の研究に使われ、私たちが今まで思いもつかなかった成果を生み出すかもしれません。

画像利用・講演依頼・ご寄付

Q 画像を使いたい
A

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Q 取材したい
A

アルマ望遠鏡の日本における窓口は、国立天文台アルマプロジェクトが務めています。
チリ現地の取材をご希望の場合は、安全を管理し現地との調整を十分に行うため、取材の2か月前までにご連絡いただけますようお願いします。
お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

Q 講演や教育企画への協力を依頼したい
A

アルマ望遠鏡の研究者・技術者による講演や、模型・展示ポスター・映像等の展示物の貸し出しを行なっております。展示ポスターは、教育コンテンツからダウンロードすることができます。
講演依頼などは、お問い合わせフォームからご連絡ください。

Q アルマ望遠鏡を支援したい
A

国立天文台では、「国立天文台天文学振興募金」を立ち上げ、皆様からのご寄付を受け付けております。ご寄付の際に「アルマプロジェクト」と指定していただければ、アルマ望遠鏡に関連する研究活動等に活用させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

Q その他、聞きたいことがある
A

お問い合わせフォームからご連絡ください。

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