2012年1月4日、台湾・台中市に設置されたアルマ望遠鏡・東アジア受信機統合センター(ALMA East Asia Front-End Integration Center, EA-FEIC)は、すべてのACAアンテナ用受信機システムの製造と性能試験を完了し、これらをアルマ観測所に引き渡しました。このことは日本と台湾からなるアルマ望遠鏡東アジアグループにとって重要な節目です。
アルマ望遠鏡は、観測する周波数によって異なる受信機を使います。超伝導素子を利用したこれらの受信機は-269℃(絶対温度4K)で動作するため、最終的に大きな冷凍機に組み込まれてアンテナに搭載されます。複数の受信機を冷凍機に組み込み、受信機システム全体としての性能試験を行うのが「受信機統合センター」であり、東アジア・北米・欧州に一つずつ設置されています。東アジア受信機統合センターは台湾・台中市にあり、台湾の中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)が運営しています。日本が製造するアンテナで構成されるACA(アタカマ・コンパクト・アレイ、愛称「いざよい」)のための受信機システムは、この東アジア受信機統合センターで組み立てと性能試験が行われます。
東アジア受信機統合センターからの最初の受信機システムの出荷は2008年末に行われました。それから約3年がかりでACAアンテナ用受信機システムの統合作業と性能評価試験を完了させ、受信機統合センターからチリのアルマ観測所に受信機システムを引き渡しました。これらの受信機システムは準備が完了したアンテナに順次搭載されており、一部は既に観測に使用されています。
下の写真は、最後の受信機システム(中央の青い円筒形のもの)を囲んで喜びの表情を見せる、東アジア受信機統合センターのスタッフたちです。
下の写真は、東アジア受信機統合センターの設備です。2つのドアの向こうに受信機システムの性能評価試験装置がそれぞれ設置されており、2つの受信機システムの性能評価を同時に進めることができます。