2014. 7. 13

【ALMA Mail Magazine】 2014年7月13日号 ~アルマ望遠鏡が目撃したダイナミックな星の誕生~

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▲▲▲ ALMA Mail Magazine 2014年7月13日号
Atacama Large Millimeter/submillimeter Array
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――― 国立天文台アルマ望遠鏡に関心をお持ちの皆さま ―――
毎月「月齢16」の夜にお届けしているアルマ望遠鏡メールマガジン。
国立天文台のフラッグシップ望遠鏡のひとつ、アルマ望遠鏡に関する
最新情報をお知らせします。
最新情報はアルマ望遠鏡のウェブサイト http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
ならびにアルマ望遠鏡Twitterアカウント http://twitter.com/ALMA_Japan
をご覧ください。
INDEX
最新情報
  6月16日 アルマ望遠鏡最後のアンテナが山頂施設に到着
アルマ通信
  6月20日 東アジア アルマ地域センターでのサイクル2準備活動
  6月27日 アルマ望遠鏡をテーマにしたプラネタリウム番組「ALMA まだ見ぬ宇宙へ」
  7月 4日 アステ望遠鏡・アルマ望遠鏡開発ワークショップ開催
PICK UP!
  7月 3日 アルマ望遠鏡が目撃したダイナミックな星の誕生
イベント情報
  8月 5日 d-laboコミュニケーションスペース講演会
  8月23日 国立天文台野辺山 特別公開
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 ■ 最新情報 ■
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◎ 6月16日 アルマ望遠鏡最後のアンテナが山頂施設に到着
欧州製12mアンテナ25号機が、6月13日にアルマ望遠鏡山頂施設(標高5000m)に
設置されました。これで66台すべてのアンテナが山頂施設への移設を終えたこと
になります。すでに山頂施設に運ばれている欧州製の24台の12mアンテナ、北米製
の25台の12mアンテナ、そして日本が開発した16台のアンテナ(直径12mが4台、7m
が12台)と一緒に、国際協力で作り上げた『人類の目』として宇宙の謎に挑みます。
このアンテナ設置の様子は、ラジコンヘリによって空から映像に収められました。
山麓施設・山頂施設のまわりの風景もよくわかる映像になっていますので、ぜひ
ご覧ください。
[最新情報] アルマ望遠鏡最後のアンテナが山頂施設に到着
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2014/0616post_544.html
[映像] アルマ望遠鏡施設空撮と最後のアンテナの山頂移設
https://www.youtube.com/watch?v=MUj02HXhv2k
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 ■ アルマ通信 ■
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◎ 6月20日 東アジア アルマ地域センターでのサイクル2準備活動
5月7日から16日にかけて、国立天文台三鷹キャンパス(東京都三鷹市)
ALMA棟に東アジア地区のアルマ望遠鏡ユーザーサポート担当者が集まり、
6月開始の科学観測サイクル2のための準備会合を行いました。
アルマ望遠鏡では、実際の観測や初期データ解析は、観測を提案した研究者
ではなく、チリのアルマ観測所及び日米欧に設置されたアルマ地域センター
のスタッフが行います。今回の準備会合では、研究者の希望通りに望遠鏡を
駆動させるためのプログラムの作成訓練が地域センタースタッフを対象に行
われました。また初期データ解析や観測データの品質保証の方法など、それ
ぞれを熟知したスタッフが他のスタッフとノウハウを共有し、ユーザーサポ
ートを円滑に行うための準備を行いました。
[アルマ通信] 東アジア アルマ地域センターでのサイクル2準備活動
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/0620_2.html
◎ 6月27日 アルマ望遠鏡をテーマにしたプラネタリウム番組「ALMA まだ見ぬ宇宙へ」
アルマ望遠鏡の仕組みと現地の様子、そしてアルマ望遠鏡が切り拓く新しい
天文学の姿を紹介するプラネタリウム番組「ALMA まだ見ぬ宇宙へ」が製作され、
上映が始まっています。昨年12月に、2週間にわたって行われた現地ロケで撮影
された美しい映像と、アルマ望遠鏡の仕組みの紹介、最新の観測成果も紹介
されています。現在この番組が上映されているのは、以下の3施設です。
ぜひ足をお運びください。
・コニカミノルタプラネタリウム”満天” in Sunshine City
 上映期間:2014年6月14日~11月16日
・渋谷区文化総合センター大和田 コスモプラネタリウム渋谷
 上映期間:2014年7月1日~
・岡山天文博物館
 上映期間:2014年6月14日~9月7日
[アルマ通信] アルマ望遠鏡をテーマにしたプラネタリウム番組「ALMA まだ見ぬ宇宙へ」
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/0627alma_94.html
◎ 7月 4日 アステ望遠鏡・アルマ望遠鏡開発ワークショップ開催
6月17・18日の2日間、国立天文台三鷹キャンパスでアステ望遠鏡・アルマ
望遠鏡開発ワークショップ2014が開催され、6か国・地域から62人の研究者
が集まってアステ望遠鏡・アルマ望遠鏡の将来開発計画について議論を行い
ました。
アステ望遠鏡は、2003年からさまざまな観測成果及び実験開発の成果を挙げて
きました。今回のワークショップでは、アルマ望遠鏡の本格観測開始を受けて、
今後アステ望遠鏡にどのような観測装置を搭載するか、そしてアルマ望遠鏡の
将来開発計画とどのように相乗効果をとるのか、をテーマに、活発な議論が
行われました。
[アルマ通信] アステ望遠鏡・アルマ望遠鏡開発ワークショップ開催
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2014/0704post_545.html
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 ■ PICK UP! ■
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◎ 7月3日 アルマ望遠鏡が目撃したダイナミックな星の誕生
アルマ望遠鏡による観測から、星の誕生現場では星の卵となるガス塊が非常に
ダイナミックに運動していることがわかりました。これは、ゆっくりとガス雲
が収縮して星が生まれるという従来のイメージを覆す、画期的な観測成果です。
おうし座にある濃いガス雲MC27には、過去の観測から生まれたばかりの星が
あることが知られていました。星の形成過程を調べるため、徳田一起氏と大西
利和教授(大阪府立大学)を中心とする研究チームはアルマ望遠鏡でMC27を
観測しました。観測の結果、以前から知られていた生まれたばかりの星のすぐ
隣で、星を持たない非常に濃いガス塊を発見しました。このガスの塊は星が
誕生する直前の段階にあると考えられます。また、付近には長く伸びたガス雲
も見つかりました。2つ以上のガス塊がお互いに重力を及ぼしながら激しく移動
した結果と考えられます。こうしたダイナミックな星の形成の様子が観測で
とらえられたのは、これが初めてです。本研究成果は、ガス雲から星形成の
過程を明らかにするための重要なヒントを我々にもたらしてくれます。
[プレスリリース] アルマ望遠鏡が目撃したダイナミックな星の誕生
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201407037388.html
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 ■ イベント情報 ■
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◎ 8月5日 d-labo コミュニケーションスペース講演会
講師:井口 聖(国立天文台電波研究部主任・国立天文台チリ観測所教授)
会場:d-laboコミュニケーションスペース (東京都港区 ミッドタウン・タワー7F)
時間:19:00 – 21:00
申込:必要(下記ウェブサイトから)、先着順(定員80名)
[詳細] d-labo コミュニケーションスペース
http://www.d-laboweb.jp/event/140805.html
◎ 8月23日 国立天文台野辺山 特別公開
会場:国立天文台野辺山宇宙電波観測所 (長野県南佐久郡南牧村)
時間:9:30 – 16:00(入場は15:30まで)
内容:ポスター展示、映像展示、講演会など
[詳細] 国立天文台野辺山 特別公開2014
http://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2014/open2014_top.html
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 ■ あとがき ■
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アルマ望遠鏡はチリにありますが、その仕事がチリで完結するわけでは
もちろんありません。アルマ望遠鏡は他の望遠鏡に比べても研究者に
対するサポートが手厚く、そうしたサポート業務の多くは日米欧に設置
されているアルマ地域センター(ALMA Regional Center: ARC)が担う
ことになります。東アジア地区を担当するのは、国立天文台に設置され
た東アジア アルマ地域センターです。
アルマ望遠鏡は、これまで電波望遠鏡での観測を経験したことのない
研究者にも使ってもらえるように、さまざまな仕組みを準備しています。
多くの天文台では、研究者が自ら天文台まで足を運んで自ら観測を行い
ますが、アルマ望遠鏡は専門のオペレーターが望遠鏡を操作するため、
研究者は遠いチリまで行く必要がありません。研究者が思い描く通りの
観測を現地のオペレータに実行してもらえるように、あらかじめ望遠鏡の
セッティング等を記述した指示書を作る必要がありますが、これはARCの
研究者の仕事です。
観測してデータを取った後も、サポート業務があります。一般的な天文台
ではデータが取れたらそれをそのまま研究者に渡しますが、アルマ望遠鏡
の場合は違います。ARCやチリのアルマ観測所の研究者が一度データを解析
し、観測を提案した研究者が要求した質に達しているかどうかを確認する
のです。質が不十分なら追加で観測を行いますので、研究者がデータを
見て「あぁ、ちょっと質が悪いな」とがっかりすることもありません。
データは論文に使用できる画像の形でARCから研究者に配布されるので、
研究者はその画像を読み解き考察することに労力を集中させることができ
ます。多く報告されるアルマ望遠鏡による新発見は、研究を主導する研究者の
努力はもちろんですが、ARCスタッフの日々の努力にも支えられているのです。
■ご意見、ご感想はお問い合わせフォームからお寄せください。
 お問い合わせフォーム:http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/inquiry/
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国立天文台 チリ観測所 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
Copyright(C) 2014 Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA), NAOJ.
All rights reserved.
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