学習院大学 理学部 物理学科の谷口琴美助教を中心とした、国立天文台、National Institute of Science Education and Research (インド) の研究グループは、南米チリにあるアルマ望遠鏡で取得されたIRAS16562-3959 大質量星形成領域の高空間分解能の分子輝線の観測データを用いて、この領域の化学組成や各分子の空間分布について詳細に調べました。酸素を含む有機分子 (CH3OCH3, CH3OCHO, (CH3)2CO) と窒素を含む有機分子 (CH3CN, HNCO) の空間分布には大きな違いがありました。星間空間特有の分子で、炭素原子が直線状に連なった炭素鎖分子の一種であるシアノアセチレン (HC3N) は、窒素を含む有機分子と類似の空間分布を示すことが分かりました。各分子輝線の特徴を活かし、この大質量星形成領域の構造やコアの進化段階について明らかにしました。また、この観測結果と化学反応ネットワークシミュレーションの結果と組み合わせ、今までの赤外線の観測では見つけられていなかった、ガスやダストに埋もれた非常に若い星の存在を示しました。
この結果は米国の天体物理学専門誌「The Astrophysical Journal」に掲載されます。
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