授賞式の様子（提供：日本ロレアル）

国立天文台の受託院生である森井嘉穂さん（東京大学大学院理学系研究科 天文学専攻 国立天文台中村研究室）が、「ロレアル－ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を受賞しました。この賞は、「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている」という理念のもと、優れた業績を上げた将来有望な女性科学者を支援・顕彰するものです。対象となった研究内容は「雲から星へ 電波観測による重い星の誕生過程の解明」です。

従来の星形成研究は、主に太陽質量程度の中小質量星に焦点が当てられていました。しかし、大質量星（太陽の約10倍以上の質量を持つ星）は、数が少なく進化が早く、かつ遠方に位置するため、その形成過程は十分に解明されていませんでした。大質量星は銀河環境に大きな影響を与え、最終的に超新星爆発を経てブラックホールや中性子星になる重要な天体です。そのため、誕生過程が中小質量星と同じかどうかは、天文学の重要な未解決問題です。

森井さんは、この課題に取り組むため、チリにあるアルマ望遠鏡を用いて、大質量星の誕生現場とされる赤外線暗黒星雲を観測し、過去最大規模の高密度コアのカタログを作成しました。これにより、大質量星は軽い小さなコアがガスを取り込み成長することで誕生することが示されました。より精緻な形成シナリオの構築を目指し、現在も精力的に研究を続けています。

「何事にも真摯に取り組み、膨大なデータ解析をほぼ一人で行ってきた森井さん。さまざまな解析手法を試みながら、大質量星形成過程におけるガスの獲得メカニズムという新たな発見に至ることができたのは、日々の努力が生んだ賜物であると思います。今後も、さらなる重要な科学的課題に挑み続け、多方面でさらなる活躍をされることを心より期待しております。」と、指導教員の中村文隆准教授はコメントしています。

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ロレアル－ユネスコ女性科学賞について
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森井嘉穂さん（天文学専攻）が2024年度第19回「ロレアル－ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を受賞（東京大学 大学院 理学系研究科・理学部）