日本が開発を担当したアルマ望遠鏡のモリタアレイが、このたび2013年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)において、すべての受賞作品の中から特に優れた100件を選定する「グッドデザイン・ベスト100」に選出されました。また、2013年度を象徴するデザインとして位置づけられる「グッドデザイン大賞」の候補にも選ばれています。
国際共同プロジェクトであるアルマ望遠鏡の開発にあたって、日本は16台のパラボラアンテナ(直径12mアンテナが4台、直径7mアンテナが12台)、3つの周波数帯の電波を受信する高感度電波受信機(米欧の開発分を含めた全66台のアンテナに搭載)、そして16台のパラボラアンテナで集められた信号を処理する相関器(専用高速計算機)の開発を担当しました。
「モリタアレイ」は、このうち16台のパラボラアンテナ、受信機、相関器から構成されるシステムである「アタカマコンパクトアレイ(Atacama Compact Array, ACA)」の別名です。モリタアレイは、アルマ望遠鏡のアンテナ群の中心付近にコンパクトな配列で設置されており、米欧が開発する50台の12mアンテナではとらえきれない大きく広がった天体が発する電波を余すところなくキャッチして、アルマ望遠鏡が撮影する電波写真をより高精度なものにすることを可能にします。
グッドデザイン賞審査委員のコメントによれば、「標高5000mという過酷な高地において、100億光年もの彼方からやってくる微弱な電波を検出するという課題に、天体追尾性を可能にする鏡面精度を持つアンテナ、高効率化された受信機、高い演算性能をもつ計算機を統合し、全ての開発において、厳しい精度を追求し実現させている」点、そして「日本の研究者、メーカーらの技術の粋を結集し、日本らしい総合的なデザイン、精度の高いものづくりの力が、世界レベルによる人類の知の探求の営みに大きく貢献することを力強く示している」点が、今回のモリタアレイへの高い評価へとつながりました。
10月30日(水)から東京ミッドタウンで開催される受賞展「グッドデザインエキシビション2013」では、グッドデザイン・ベスト100の展示会場にて、アルマ望遠鏡モリタアレイが紹介される予定です。
グッドデザインエキシビション2013
会期:10月30日(水)〜11月4日(月/振休)
会場:東京ミッドタウン(東京都港区六本木)
主催:公益財団法人日本デザイン振興会
【グッドデザイン賞とは】
グッドデザイン賞は、1957年に創設されたグッドデザイン商品選定制度を発端とする、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の運動です。これまで55年以上にわたって、デザインを通じて日本の産業や生活文化を向上させる運動として展開され、のべ受賞件数は39,000件以上にのぼります。今日では国内外の多くの企業や団体などが参加する世界的なデザイン賞です。グッドデザイン賞受賞のシンボルである「Gマーク」は、すぐれたデザインを示すシンボルマークとして広く親しまれています。