2015. 7. 3

【ALMA】 ブラックホールの体重量りました

Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA)
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  国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
  ALMA Mail Magazine 2015年7月3日号
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今夜は「月齢16」、アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
今回はブラックホールに関する研究成果です。謎が多い
ブラックホール。アルマ望遠鏡はこれからもさまざまな
宇宙の謎の解明に迫ります。
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  pick up!
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◎アルマ望遠鏡によるブラックホールの精密体重測定
総合研究大学院大学の大西響子氏をはじめとする研究
チームは棒渦巻銀河NGC 1097を観測し、その中心に位置
する超巨大ブラックホールが太陽の1億4000万倍の質量を
もつことを明らかにしました。銀河と中心の超巨大ブラック
ホールの進化を議論する上で、その質量はたいへん重要な
情報です。今回の結果は2時間程度の観測で得られたもの
であり、アルマ望遠鏡が大きな威力を発揮することを示し
ています。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201506187684.html
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  topics
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◎視力13,000を達成!
アルマ望遠鏡と重力レンズ望遠鏡のかけ合わせで
モンスター銀河の真の姿をとらえることに成功
117億光年彼方のモンスター銀河SDP.81は、その手前に
偶然位置する距離34億光年の銀河の重力によって、その
姿がリング状に拡大されています(重力レンズ効果)。
今回、東京大学の田村陽一氏をはじめとする研究チームは
その重力レンズ効果を精緻に再現できるモデルを発表しま
した。そしてSPD.81の詳細な内部構造を解明しただけで
なく、手前の銀河に太陽質量の3億倍以上におよぶ超巨大
ブラックホールが存在することを世界で初めて示しました。
アルマ望遠鏡と重力レンズという天然の望遠鏡の組み合わ
せによって、じつに視力13,000が達成されたことになります。
この結果は、モンスター銀河の形成過程や超巨大ブラック
ホールの成長メカニズムの解明につながると期待されます。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201506097680.html
◎金沢21世紀美術館でALMA MUSIC BOXの展示
ALMA MUSIC BOXは、アルマ望遠鏡の観測データから生ま
れたアート作品です。今回の展示では70種類にもなる
オルゴールのすべての音源を聞くことができる端末を
設置しています。観測した周波数の違いはわずかですが
オルゴールの音に変換すると大きく異なる音色になって
いるのが面白いところです。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2015/061721alma_music_box.html
◎初期銀河に漂う最初の「炭素のけむり」を発見
ビッグバンからわずか10億年ほどの「普通の」銀河の中
に漂う炭素原子のかすかな痕跡が、いとも簡単にとらえ
られました。これは非常に初期の宇宙では、普通の銀河
でさえすでに炭素で満ちていたことを示唆しています。
一方でそれから数十億年後の銀河ほど化学的に進化して
いませんでした。
アルマ望遠鏡による今後の観測では銀河の形成とその
化学的な組成についてさらにはっきりとした描像を示す
ことができるでしょう。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2015/0701post_601.html
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  event
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◎ 7月 1日(水)〜11月 3日(火)
TeNQ1周年特別企画展「宇宙兄弟展×TeNQ」
取材協力:長谷川哲夫(国立天文台 チリ観測所長)
会場:宇宙ミュージアムTeNQ(東京都文京区)
時間:平日11:00〜21:00、
土日祝・特定日10:00〜21:00 (最終入館20:00迄)
チケット:日時指定の予約制。予約購入あり。
[詳細]TeNQ1周年特別企画展「宇宙兄弟展×TeNQ」
http://www.tokyo-dome.co.jp/tenq/exhibition/4_special2015/
◎開催中〜7月5日(日)
企画展示「ALMA 〜世界最大の電波望遠鏡群」
会場:ディスカバリーパーク焼津(静岡県焼津市)
[詳細] ディスカバリーパーク焼津
http://www.discoverypark.jp/event/detail/?dat_id=69
◎ 7月18日(土)〜10月12日(月・祝)
山ノ内町制施行60周年記念・2015年度夏季企画展
「宇宙をみる眼—-アートと天文学のコラボレーション」
アルマ望遠鏡バンド10受信機の展示
会場:志賀高原ロマン美術館(長野県下高井郡)
[詳細]志賀高原ロマン美術館
http://www.s-roman.sakura.ne.jp/index.htm
◎ 8月22日(土)
国立天文台野辺山特別公開
時間:9:30 – 16:00(入場は15:30まで)
場所:長野県 国立天文台野辺山
内容:ポスター展示、映像展示など
[詳細] 国立天文台野辺山
http://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2015/open2015_top.html
◎開催中〜11月15日(日)
オルゴール「ALMA MUSIC BOX」の展示
会場:金沢21世紀美術館(石川県金沢市)
[詳細] 展覧会 「われらの時代:ポスト工業化社会の美術」
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=45&d=1724
◎開催中〜2016年3月13日(日)
プラネタリウム 「ALMA〜まだ見ぬ宇宙へ〜」
会場:ディスカバリーパーク焼津(静岡県焼津市)
[詳細] ディスカバリーパーク焼津
http://www.discoverypark.jp/event/detail/?dat_id=50
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  afterword
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イベント情報でお知らせしましたように、金沢21世紀美
術館と志賀高原ロマン美術館にて、宇宙と人のかかわり
を科学と芸術の目で見つめた展示が行われます。金沢では
アルマ望遠鏡のデータをオルゴールにしたALMA MUSIC BOX
とアルマ望遠鏡アンテナ模型、超伝導受信機2台を、志賀
高原ロマン美術館では超伝導受信機1台を展示しています。
古代ギリシャ・ローマの時代から、天文学と音楽は「リベ
ラルアーツ」を構成する分野として親しまれ、学ばれてき
ました。現代の天文学は科学技術の進展とともに大きく発展
し、131億光年かなたの銀河や惑星の形成過程をつまびらかに
することができるようになりました。一見すると天文学は
リベラルアーツからは遠く離れてしまったようにも感じますが、
この世界の骨格を知るという意味では、さまざまな学問の
基礎となるべきリベラルアーツの重要な位置を現在でも占め
ている、といえるかもしれません。使い古された言い方では
ありますが、最先端天文学と芸術との融合をぜひご覧いた
だき、新たな世界観を作るきっかけにしていただければ
さいわいです。
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自然科学研究機構 国立天文台 チリ観測所
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Millimeter/submillimeter Array(ALMA), NAOJ.
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