アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
アルマ望遠鏡は、東アジア、北米、ヨーロッパなどの国々が共同で建設・運用する国際プロジェクトです。そのルーツは、1980年代初頭にまでさかのぼることができます。当時、世界最先端の野辺山45m電波望遠鏡を完成させた日本は、次世代の超大型電波望遠鏡計画の検討を始めました。同時期に、北米の研究者も次世代計画を立ち上げました。1990年代初頭にはヨーロッパの研究者も、独自に超大型電波望遠鏡計画の検討を開始しました。次世代望遠鏡で目指す天文学のテーマや望遠鏡実現に必要な技術の検討、望遠鏡建設候補地の調査などを協力して行っていく中で、それぞれの計画を統合し、世界に一つだけの超高性能望遠鏡を建設してはどうか、という流れが研究者の中で生まれました。その結果として実現したのが、アルマ望遠鏡です。
ここでは、1983年の検討開始から現在まで30年以上にわたるアルマ望遠鏡プロジェクトの歩みをご紹介します。
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東アジア | 北米 | 欧州 | ||
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1982 | 野辺山宇宙電波観測所の開所 | |||
1983 | 大型ミリ波干渉計(LMA)構想 | ミリ波干渉計(MMA)構想 | ||
1987 | サブミリ波の本格観測を視野に入れ、LMAから大型ミリ波サブミリ波干渉計(LMSA)構想へ発展 | |||
1991 | 大型電波干渉計の検討開始 | |||
1992 | チリでの建設地調査開始 | |||
1994 | 日米での協力協議の開始 | |||
1995 | 大型南天干渉計(LSA)構想 | |||
1997 | チリでの建設地調査開始 | |||
1997.03 | 日米共同ワークショップ「0.01秒角分解能によるミリ波サブミリ波天文学」で、LMSA/MMA結合計画の提案 | |||
1998.10 | MMAの設計開発研究開始 | |||
1998.12 | LSAのためのヨーロッパコンソーシアム結成 | |||
1999.06 | 米欧間でのアルマ望遠鏡開発協力開始 | |||
1999.10 | アルマ望遠鏡ワシントンサイエンスシンポジウム アルマ科学諮問委員会結成 |
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2001.04 | アルマ望遠鏡 日米欧3者共同建設の決議書の締結 | |||
2001.11 | アルマ望遠鏡建設予算の決定 | |||
2002.04 | アルマ望遠鏡試作アンテナ予算の決定 | |||
2002.07 | アルマ望遠鏡建設予算の決定 | |||
2003.02 | 米欧によるアルマ望遠鏡(Atacama Large Millimeter Array)共同建設開始 | |||
2003.11 | 起工式を開催 | |||
2004.04 | アルマ望遠鏡建設予算の決定 | |||
2004.09 | 日本が加わったアルマ望遠鏡の共同建設開始。 正式名称が Atacama Large Millimeter/submillimeter Array に。 |
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2008.12 | 日本製12mアンテナがアルマ望遠鏡第1号アンテナとして受け入れ | |||
2009.09 | 日本製12mアンテナが標高5000mの山頂施設に一番乗り | |||
2010.01 | 試験観測開始 | |||
2011.09 | 16台のアンテナで初期科学観測開始 | |||
2013.03 | 開所式を挙行、本格運用に移行 | 2015.12 | アルマ望遠鏡運用に関する三者協定書に署名 | |
2016.11 | アルマ望遠鏡の三者管理協定に署名 |
アルマ望遠鏡プロジェクトにおいて、日本を含む東アジアは全体の25%の貢献をしています。アルマ望遠鏡を構成するアンテナ・受信機・相関器のそれぞれの開発にも、米欧と並んで取り組んできました。ここでは、東アジアにおけるアルマ望遠鏡開発の歴史をご紹介します。
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マネジメント | アンテナ開発 | 受信機開発 | 相関器開発 | |
1997.04 | 国立天文台にLMSA計画準備室発足 | |||
2000.04 | LMSA計画準備室、アルマ計画準備室に改組 | |||
2002.04 | アルマ望遠鏡試作アンテナ予算の決定 | |||
2003 | 米ニューメキシコ州にて試作アンテナ評価試験 | |||
2004.04 | アルマ望遠鏡建設予算の決定 アルマ計画準備室、アルマ推進室に改組 |
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2005.05 | ACA相関器、基本設計審査会 | |||
2005.06 | バンド4/8受信機、基本設計審査会 | |||
2005.09 | 日本と台湾、アルマ望遠鏡建設に関する協定に調印。台湾が日本との協力の枠組みでアルマ望遠鏡プロジェクトに正式参加。 | |||
2005.11 | ACAシステム、基本設計審査会 | ACAシステム、基本設計審査会 | ||
2006.01 | 試作アンテナ評価試験完了 | |||
2006.12 | ACA相関器、最終設計審査会 | |||
2008.02 | バンド10受信機、基本設計審査会 | |||
2008.12 | 日本製12mアンテナがアルマ望遠鏡第1号アンテナとして受け入れ | |||
2009.06 | バンド4/8受信機、最終設計審査会 | |||
2009.11 | 日本製12mアンテナが標高5000mの山頂施設に一番乗り | |||
2010.03 | 日本製アンテナの愛称が「いざよい(十六夜)」に決定 | |||
2010.06 | バンド4/8受信機、ファーストスペクトル取得 | |||
2010.11 | ACA相関器、引き渡し試験を実施、試験観測開始 | |||
2011.05 | 日本製7mアンテナ1号機の引き渡し | |||
2011.06 | バンド8受信機、量産審査会 | |||
2011.09 | バンド10受信機、最終設計審査会 | |||
2012.03 | 日本と韓国、アルマ望遠鏡に関する協力協定書に調印 | |||
2012.01 | 台湾の東アジア受信機統合試験センター、ACA用受信機システムの製造と性能試験を完了 | |||
2012.04 | 国立天文台ALMA推進室、チリ観測所に改組 | |||
2012.06 | バンド4/10受信機、量産審査会 | |||
2012.11 | バンド10受信機、ファーストスペクトル取得 | |||
2013.04 | 日本製アンテナ全16台の山頂施設設置が完了 | |||
2014.02 | 日本製の全受信機の出荷が完了 | |||
2014.08 | 日本と韓国、アルマ望遠鏡に関する協定書に署名。韓国が日本との協力の枠組みでアルマ望遠鏡プロジェクトに正式参加 |
アステ望遠鏡(Atacama Submillimeter Telescope Experiment: ASTE)は、アルマ望遠鏡建設地近くに設置された口径10mの電波望遠鏡で、南半球初の本格的大型サブミリ波望遠鏡として2004年に観測を開始しました。アステ望遠鏡は、日本からは観測できない南天を未踏のサブミリ波で探査する、という『アルマ望遠鏡の水先案内人』としての役割に加え、先進的な観測装置のテストベッドとしての機能も果たしており、電波天文学の将来を担う人材の育成と装置開発にも貢献しています。現在、アステ望遠鏡の運用は国立天文台チリ観測所が担っています。
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