夏休みジュニア天文教室 電波編

国立天文台では、夏休みに小中学生向けの天文教室を行なっています。今年は7月31日から8月2日まで、日によって様々なプログラムで行なわれました。8月2日は「電波望遠鏡観測体験」として、チリ観測所助教の平松正顕が講師を務めました。
電波やアルマ望遠鏡についての講義だけでなく、太陽電波望遠鏡を使って実際に太陽の電波を受信する体験を行ないました。太陽電波望遠鏡は、かつて長野県野辺山で観測に使用されていたものが東京都の三鷹キャンパスに移設されたものです。望遠鏡の向きを手で動かし、パラボラアンテナが太陽の方向を向くと電波が強まり、太陽から外れると再び弱まる様子が音の強さでもわかるようになっています。当日は曇り空でしたが、太陽の電波は雲を通して届いているため無事受信することができました。参加者は電波強度が波形で記録された記録用紙をお土産として持ち帰りました。

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太陽電波望遠鏡で受信実験
Credit: NAOJ

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太陽電波望遠鏡の記録用紙
Credit: NAOJ

また、4D2UドームシアターでMitakaというソフトを使って宇宙の全体像を観覧したほか、アルマ望遠鏡現地で撮影した画像を投影してその様子を紹介しました。
観測体験の後は、電波観測をもとに天体を画像化するようすを模した、電波ぬりえをしてもらいました。電波望遠鏡は空のいろいろな場所からやってくる電波の強さをそれぞれはかり、その強さによって天体の姿を描き出します。ぬりえは細かい方眼にそれぞれ数字が書いてあり、数字によって色を変えて塗っていくと天体の姿が浮かび上がるようになっています。このぬりえは、実際のアルマ望遠鏡観測画像を元に制作しました。今ではコンピュータがやっている画像化ですが、30年前の天文学者は実際にこのようにマス目を塗って観測結果の画像化を試みていたそうです。

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電波ぬり絵で描かれた、フォーマルハウトのまわりのちりのえんばん
Credit: NAOJ

電波ぬりえは皆さん集中して取り組む様子が見られました。付き添いの保護者の方も、大人用の難しいぬりえを一緒に挑戦していました。最後は活発な質疑応答が行なわれ、天文学に対する関心の高さがうかがえました。

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