合同アルマ観測所の新しい所長にピエール・コックス氏

アルマ評議会は、合同アルマ観測所の新しい所長にピエール・コックス氏を選任しました。現所長であるタイス・ドゥフラウ氏は2013年3月の任期満了を受けて退任し、2013年4月1日からコックス氏が所長に就任します。任期は5年間です。タイス・ドゥフラウ氏は2008年から所長を務め、2011年9月の科学観測開始を無事に達成するなど アルマ望遠鏡の建設と運用に大きな貢献を残しています。

コックス氏は、2006年からIRAM(ミリ波電波天文学研究所)の所長を務めています。IRAMはドイツのマックス・プランク協会 (MPG)、フランス国立科学研究センター (CNRS)、スペイン国立地理学研究所 (IGN)が共同で運用しており、プラトー・デ・ビュール電波干渉計(フランス、グルノーブル近郊)と30m電波望遠鏡(スペイン、ピコ・ベレタ)という2つの電波望遠鏡を持つミリ波電波天文学の代表的な研究機関です。

コックス氏はミリ波や赤外線を用いた星形成領域、晩期型星、遠方銀河などの観測研究で知られ、執筆した論文は200本以上、総引用数は1万を超えます。またIRAMの所長として120人以上のスタッフを率い、プラトー・デ・ビュール電波干渉計近郊の町との良好な関係の構築にも尽力しました。また、IRAMが所有する望遠鏡を運営母体である3か国以外の研究者にも公開し、大規模な観測計画の実行を可能にすることでIRAMがより多くの重要な科学的成果を生み出すことにも貢献しました。新しいアルマ観測所長として、コックス氏が持つ国際研究機関の運営と国際的なユーザーコミュニティーへの貢献という経験が存分に活かされることでしょう。

コックス氏はアルマ望遠鏡とも深いかかわりを持っています。コックス氏はアルマ科学諮問委員会の初期メンバーであり、1990年代後半から研究者や資金提供機関とともにアルマ望遠鏡プロジェクトを支援してきました。また2007年にはアルマ望遠鏡運用計画評価委員会の委員長も務めています。コックス氏が所長を務めるIRAMはアルマ望遠鏡のバンド7受信機を予定通りに製造完了させており、ヨーロッパアルマ地域センターの支部も運営しています。IRAMのスタッフはアルマ望遠鏡の科学評価観測でも重要な役割を果たしています。

国立天文台の林正彦台長は、「ピエール・コックス氏はアルマ観測所の新しい所長にふさわしい方です。アルマ望遠鏡は、建設から本格的な共同利用観測に移行するという難しい時期にあります。ピエール・コックス氏は、電波干渉計に関する深い知識と、観測所運営の豊富な実績をもとに、アルマ望遠鏡に最大限の貢献をしてくれるものと期待しています。私たちも、彼と一緒にこの素晴らしい望遠鏡を運用していけることを楽しみにしています。」と語っています。

写真は、アルマ望遠鏡バンド7受信機の文書にサインするピエール・コックス氏です。
Credit: P. Cox

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