2018. 9. 25

【ALMAメールマガジン】124億光年かなたで暴走するモンスター銀河

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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン

ALMA Mail Magazine 2018年9月25日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。

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pick up!
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◎124億光年かなたで暴走するモンスター銀河  -遠方爆発的星形成銀河における
もっとも詳細な星の材料の分布

国立天文台の但木謙一氏(日本学術振興会特別研究員)と伊王野大介 准教授を中心
とする国際研究チームは、124億光年彼方で爆発的に星を作っているモンスター銀河
COSMOS-AzTEC-1をアルマ望遠鏡で観測し、形成初期の銀河においてかつてない高解像
度で分子ガスの地図を描き出すことに成功しました。そしてこの地図を解析した結果、
このモンスター銀河では、銀河全体にわたって分子ガス雲がつぶれやすくなっており、
大量の星々が暴走的に生まれている様子が見えてきました。モンスター銀河は現在の
宇宙に存在する巨大楕円銀河の祖先にあたる銀河と考えられているため、今回の研究
成果は巨大楕円銀河の誕生の秘密を探ることにつながります。

http://c.bme.jp/14/924/33/5462

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topics
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◎野辺山宇宙電波観測所特別公開でのアルマ望遠鏡展示

気持ちの良い晴天の下、2018年8月25日(土)に国立天文台野辺山宇宙電波観測所の
特別公開が開催されました。日本の電波天文学の聖地ともいえる野辺山は、アルマ
望遠鏡プロジェクト発祥の地のひとつでもあり、毎年アルマの展示を行っています。
アルマ望遠鏡・アステ望遠鏡展示では、ミリ波サブミリ波天文学の意義や最新成果を
紹介するポスターや、チリ現地の地形とアンテナ配置を再現した1/10,000スケール
ジオラマ、ドローンで撮影した現地映像などを展示し、研究者や技術者が解説を
行いました。

http://c.bme.jp/14/924/34/5462

◎新しい東アジア・アルマプロジェクトマネージャにアルバロ・ゴンサレス氏

アルマ望遠鏡東アジアチームをまとめるプロジェクトマネージャに、アルバロ・
ゴンサレス 国立天文台准教授が就任することになりました。現在プロジェクト
マネージャを務めている井口聖 国立天文台教授・副台長から、2018年10月1日付で
バトンを受け取ることになります。

http://c.bme.jp/14/924/35/5462

◎アルマ望遠鏡を支える人々(3)  電波のデータを画像化する「仕事人」・
データ解析の業務とは

アルマ望遠鏡運用の舞台裏を紹介するインタビュー記事の第3段です。
世界中の天文学者が利用するアルマ望遠鏡。得られたデータは、まずアルマ望遠鏡
運用チームの専門家たちが処理を行い、処理済みのデータや電波画像が天文学者に
渡されます。料理で言えば、食材の下ごしらえを運用チームが肩代わりしている
ようなもの。だからこそ、データを受け取る天文学者はわずらわしい処理から解放
されて、データに秘められた宇宙の謎とじっくり向き合えるのです。今回は、日本の
データ解析チームをまとめる役割を担った国立天文台の永井洋 特任准教授に、アルマ
望遠鏡の素晴らしい研究成果を支えるその舞台裏について聞きました

http://c.bme.jp/14/924/36/5462

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event
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◎2018年10月7日(日)
さいたま市宇宙劇場 特別講演投映『宇宙に挑む~天文学者とアルマ望遠鏡~』
会場: さいたま市宇宙劇場(埼玉県さいたま市)
時間:13:30~15:30
講師:平松正顕(国立天文台チリ観測所 助教)
定員:280名(事前申し込み)
料金:無料
申込:9月1日(土)13:00より、さいたま市宇宙劇場(048-647-0011)にて電話予約受付
 http://www.ucyugekijo.jp/#event

◎2018年10月14日(日)
大学共同利用機関シンポジウム2018 ~最先端研究大集合~
会場:名古屋市科学館 地下2階イベントホール(愛知県名古屋市)
時間:11:00~16:30
申込:高校生以上の方は、下記から申し込むことで無料で参加できます。
    (先着1000名)
内容:国立天文台の他、さまざまな大学共同利用機関が展示ブースやミニ講演で
   研究成果や研究活動のようすを紹介します。
詳細:https://www.nips.ac.jp/kikansympo2018/

◎2018年10月20日(土)
ドームイベント『天文学者に聞いてみよう~アルマ望遠鏡で見る宇宙~』
会場:セーレンプラネット ドームシアター(福井県福井市)
時間:13:00~14:00
講師:平松正顕(国立天文台チリ観測所 助教)
料金:無料 ※
申込:当日 整理券配布
 https://www.fukui-planet.com/event.php

◎2018年10月21日(日)、11月18日(日)、12月9日(日)、12月16日(日)
『巨大望遠鏡アルマが明かす宇宙の謎 銀河・星・惑星の誕生に迫る』
会場:栄中日文化センター(愛知県名古屋市)
時間:10:30~12:00
講師:平松正顕(国立天文台チリ観測所 助教)
   田村陽一(名古屋大学 准教授)
   大西利和(大阪府立大学 教授)
   深川美里(国立天文台チリ観測所 教授)
料金:11,448円
申込:http://www.chunichi-culture.com/programs/program_180110.html

◎2018年10月26日(金)・27日(土)
三鷹・星と宇宙の日『太陽系再発見』
会場:国立天文台三鷹キャンパス(東京都三鷹市)
時間:10/26 14:00-19:00(プレ公開)、10/27 10:00-19:00(本公開)

国立天文台、自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンター、東京大学天文学
教育研究センター、総合研究大学院大学天文科学専攻の特別公開イベントです。
 https://www.nao.ac.jp/open-day/2018/

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afterword
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東京では次第に暑さが和らぎ、時には肌寒いほどの日も出てきました。
中秋の名月も過ぎ、空の上でも夏から秋へと季節が移り変わっていきます。

今回のメールマガジンでは、謎に満ちた「モンスター銀河」の観測成果をはじめ
とするニュースをご紹介しました。遠くの宇宙で爆発的に星を作るモンスター
銀河の観測成果はテレビや新聞などでも報道されたので、目にされた方も多かった
のでは、と思います。記者発表のあと、この研究チームをリードした但木さんは
「アルマ望遠鏡をバリバリ使わせてもらってうれしい」とコメントしていました。
若手からシニアまで、多くの研究者に使ってもらってこそのアルマ望遠鏡。
これからも、新しい世界を切り開いていきます。

「バリバリ使って」もらうための工夫が、特集記事「アルマ望遠鏡を支える人々」で
取り上げたデータ処理のしくみです。観測を提案した天文学者が自らデータを処理
するのではなく、アルマ望遠鏡プロジェクトの専門スタッフが代わりに処理する仕組み
になっていることで、電波天文学の初心者でも安心してアルマ望遠鏡データに触れ、
そこに潜む宇宙の真の姿に迫ることができます。統一された手順で処理されたデータは
アーカイブに蓄積され、誰でもダウンロードできるようになります。この仕組みを使う
ことで、アルマ望遠鏡ユーザのすそ野は広がり、ひとつのデータからいくつも発見が
生まれ、アルマ望遠鏡の成果が最大化されるのです。データ処理を担当する国立天文台
の専門スタッフも多くは天文学者。みずからの研究と「ユーザーサポート」のための
データ処理業務のバランスを取るのは簡単ではありません。アルマ望遠鏡の華々しい
成果の舞台裏にはこうした研究者たちの献身的な努力があること、少しでもここに
想いを馳せていただければさいわいです。

さて、10月は国立天文台三鷹地区の特別公開をはじめ、各地でイベントを予定して
います。ぜひご参加ください。

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