2015. 9. 29

【ALMAメールマガジン】 小さな銀河の中でも星は作られている

Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA)
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2015年9月29日号
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一昨日は中秋の名月、昨日は今年最大の満月と、お月見を
楽しまれた方も多かったのではないでしょうか。
今夜は「月齢16」、アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎ 貧弱な矮小銀河の内部で起きていたパワフルな星形成
大きな銀河と比べて塵やガスが豊富とはいえない矮小銀河が、
なぜきらびやかに輝く星団を形成することができるのかは、
非常に魅力的な問題です。その答えは、これまで認識されて
いなかった、矮小銀河全体に散らばった高密度な星の材料に
あると、天文学者たちは信じています。
今回アルマ望遠鏡で観測されたWLMは、約300光年の距離に
ある小さな銀河です。WLMでは今まで、星を作る材料となる
ガスを観測できませんでした。アルマ望遠鏡によって、
巨大なガスの中心にある高密度な星の材料をとらえること
ができました。このような観測を続けることで、小さな銀
河や銀河に満たない星の集団である球状星団がどのように
作られるのか、その過程を解明することができるでしょう。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2015/0914post_611.html
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topics
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◎アタカマの剣士たち2015
外国人スタッフからの誘いを受け、チリ観測所の朝木義晴
准教授がアルマ望遠鏡山麓施設での剣道クラブの稽古に参
加しました。標高2900mの山麓施設は気圧が低く、酸素濃
度も低いため、平地よりも体への負荷が大きくあります。
しかし、よく滞在しているスタッフはすっかり高地に順応
している様子でスポーツに興じています。
朝木准教授は、「剣道をする外国人の真摯な態度とそれに
向き合う気持ちには、日本の剣道人として誠に感銘を受け
るものがあります。」と、感想を語ります。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2015/09242015_3.html
◎二重のリングが教えてくれる、若い星のまわりの化学組成
国際研究チームはアルマ望遠鏡を用いて若い星おおかみ座
IM星を観測し、重水素・炭素・酸素からなるDCO+イオンが
豊富に含まれる二重のリングがこの星を取り巻いていること
を発見しました。
DCO+イオンができるためには、適度な低温と材料である一酸
化炭素分子が豊富にある必要があります。今回外側のリング
が見つかった場所では、温度が低すぎて一酸化炭素が凍りつ
しまうため、DCO+は作られにくいだろうと考えられていました
今回の二重のリングの発見は研究者の予想を覆すものであり、
若い星を取り巻く円盤の温度構造や化学組成について新しい
知見を与えてくれる成果となりました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2015/0929post_612.html
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event
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◎ 開催中~10月12日(月・祝)
山ノ内町制施行60周年記念・2015年度夏季企画展
「宇宙をみる眼--アートと天文学のコラボレーション」
アルマ望遠鏡バンド10受信機の展示
会場:志賀高原ロマン美術館(長野県下高井郡)
[詳細]志賀高原ロマン美術館
http://www.s-roman.sakura.ne.jp/index.htm
◎ 開催中~11月 3日(火)
TeNQ1周年特別企画展「宇宙兄弟展×TeNQ」
取材協力:長谷川哲夫(国立天文台 チリ観測所長)
会場:宇宙ミュージアムTeNQ(東京都文京区)
時間:平日11:00~21:00、
土日祝・特定日10:00~21:00 (最終入館20:00迄)
チケット:日時指定の予約制。予約購入あり。
[詳細]TeNQ1周年特別企画展「宇宙兄弟展×TeNQ」
http://www.tokyo-dome.co.jp/tenq/exhibition/4_special2015/
◎ 開催中~11月15日(日)
オルゴール「ALMA MUSIC BOX」の展示
会場:金沢21世紀美術館(石川県金沢市)
[詳細] 展覧会 「われらの時代:ポスト工業化社会の美術」
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=45&d=1724
◎ 開催中~2016年3月13日(日)
プラネタリウム 「ALMA~まだ見ぬ宇宙へ~」
会場:ディスカバリーパーク焼津(静岡県焼津市)
[詳細] ディスカバリーパーク焼津
http://www.discoverypark.jp/event/detail/?dat_id=50
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afterword
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世界中の研究者が集まってアルマ望遠鏡を運用している合同
アルマ観測所では、ウェブカメラで現地のライブ映像を公開
しています。
このたび、新たなカメラが標高2900mの山麓施設に設置されま
した。山麓施設で始まった、新しい宿泊施設の建設の様子を
見ることができるカメラです。アルマ望遠鏡は山中の広大な
土地に設置したため周囲に街はなく、最も近いサンペドロ・
デ・アタカマまでは約50km離れています。スタッフは交代で
山麓施設に滞在しますが、滞在中は敷地内の施設に宿泊します。
これまでも建設期間を支えてきた仮設の宿泊施設がありました
が、より滞在に適した施設を作ることになりました。昼夜問わ
ず交代で勤務するスタッフのための図書館、カフェ、ジムなどの
設備もあります。現地スタッフは完成を心待ちにしていることで
しょう。
チリは地球の反対側にあるため、日本の日中はチリの夜間に
あたり、カメラの映像を見ることはできません。夜更かしや
早起きの機会がありましたら一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
ライブカメラは標高5000mの山頂施設にも設置されています。
同じく日本の夜間に昼間の映像を見ることができます。
[アルマ宿泊施設のウェブカメラ]
http://www.almaobservatory.org/en/visuals/live-from-the-alma-site/alma-residencia
[アルマ山頂施設のウェブカメラ]
http://www.almaobservatory.org/en/visuals/live-from-the-alma-site/live-from-chajnantor
10月23日(金)、24日(土)の三鷹・星と宇宙の日まで、あと
1ヶ月を切りました。国立天文台三鷹キャンパスでは、50cm望遠
鏡を使った天体観望会や、貴重な施設の公開、宇宙に生命を探す
アストロバイオロジーに関する講演会が開催されます。チリ観測所、
ALMA棟にもぜひお立ち寄りください。アルマ望遠鏡の最新成果を
取りそろえてお待ちしています。
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