2016. 3. 25

【ALMAメールマガジン】 宇宙赤外線背景放射の起源とは?

Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA)
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2016年 3月25日号
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今夜は「月齢16」、アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎アルマ望遠鏡、宇宙に満ちる謎の赤外線放射の起源を解明
東京大学宇宙線研究所の藤本征史氏と大内正己准教授を
はじめとする研究チームは、アルマ望遠鏡を使って、人類史上
最も暗いミリ波天体の検出に成功しました。そして、これらの
天体から放射される赤外線が、これまで謎だった宇宙赤外線
背景放射の起源であることが分かりました。
さらに研究チームは、今回の研究で見つかった暗いミリ波
天体をハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡の光赤外線の
画像で調べました。その結果、暗いミリ波天体のうち約60%の
正体は、これまで光赤外線の観測で知られている遠方銀河
だと分かりました。一方で残りの約40%の天体は、光赤外線
観測では姿が見えない天体でした。今回の研究によって、
宇宙赤外線背景放射の起源が銀河などの天体であることが
明らかになった一方で、これらのうち40%については正体不明
の新しいタイプの天体である可能性が出てきました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201603107894.html
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topics
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◎アルマ望遠鏡、原始星円盤へのガス流入の詳細を明らかに
東京大学大学院理学系研究科の大学院生 麻生有佑氏と
国立天文台ハワイ観測所の大橋永芳教授らを中心とする研究
グループは、原始星を取り巻く円盤の構造を詳しく調べるため、
おうし座にある原始星TMC-1A(地球からの距離 約450光年)
をアルマ望遠鏡で観測しました。その結果、この原始星を取り
巻くガス円盤とその周囲でのガスの動きがこれまでになく
詳細に明らかになりました。
TMC-1Aは誕生直後の若い星で、その周囲にはガスの円盤が
あり、さらにそれを取り巻くようにガス雲(エンベロープ)が取り
囲んでいることが知られています。しかし、ガス円盤が星の
誕生過程のどの段階で作られ、どのように成長していくのかは、
観測的研究からも理論的研究からもまだ明らかになっていません。
今回の観測では、高い感度を持つアルマ望遠鏡によって、
原始星を取り巻くガス円盤とそこに向かってゆっくりと落下する
ガスを直接見分けることに初めて成功しました。今回の研究は、
原始星周囲の円盤の成長と進化の謎に迫る重要な一歩といえます。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201603037890.html
◎アルマ望遠鏡、NHK『ブラック・ユニバース』に登場
アルマ望遠鏡が観測する暗黒の宇宙にテーマを絞ったテレビ
番組が、NHKの特別番組として放送されることになりました。
取り上げられるのは、ブラックホール、暗黒物質、そして皆既
日食。アルマ望遠鏡はブラックホールの謎に迫る最先端の
観測装置として登場します。アルマ望遠鏡山頂施設の美しい
風景と星空も、ドローン(小型無人飛行機)による撮影やタイム
ラプス映像でお楽しみいただけることと思います。
NHK総合『ブラック・ユニバース~宇宙に抱かれる特別な夜』
放送日時:3月29日(火)午後10:55~
[詳細] http://www.nhk.or.jp/space/info/blackuniverse.html
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2016/0324nhk_1.html
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event
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◎ 4月17日(日) 15:00~16:00
講演会「天文学者とアルマ望遠鏡」(東京都)
講師:平松正顕(国立天文台 チリ観測所助教)
会場:宇宙ミュージアムTeNQ (東京都文京区)
※開始30分前までにTeNQにご入場ください。
料金:TeNQ入館料に含む
[詳細] 宇宙ミュージアム TeNQ
http://www.tokyo-dome.co.jp/tenq/campaign/2016/spring/
◎ 上映中~ 3月31日(木)まで
プラネタリウム「アルマ望遠鏡の挑戦」
会場:名古屋市科学館(愛知県名古屋市)
[投影日時・詳細] 名古屋市科学館
http://www.ncsm.city.nagoya.jp/visit/planetarium/themes/general.html
◎上映中~ 4月 4日(月)まで
プラネタリウム 「ALMA~まだ見ぬ宇宙へ~」
会場:はまぎんこども宇宙科学館(神奈川県横浜市)
[詳細] はまぎんこども宇宙科学館
http://www.yokohama-kagakukan.jp/planetarium/
◎上映中~ 4月10日(日)まで
プラネタリウム 「ALMA~まだ見ぬ宇宙へ~」
会場:ディスカバリーパーク焼津(静岡県焼津市)
[詳細] ディスカバリーパーク焼津
http://www.discoverypark.jp/event/detail/?dat_id=50
◎ 上映中~ 5月29日(日)まで
プラネタリウム「星の誕生」
会場:大阪市立科学館(大阪府大阪市)
[投影日時・詳細] 大阪市立科学館
http://www.sci-museum.jp/planetarium/program/general/
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afterword
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3月22日にアルマ望遠鏡の第4期となる観測提案、サイクル4
の公募がスタートしました。サイクル4は今年10月から来年
9月までの間に実際の観測が行なわれます。
サイクル4で使用できるアンテナの数は53台です。アルマ
望遠鏡のアンテナ数は最大66台ですから、いよいよ最高
能力に迫る性能が期待されます。また、太陽の観測や、
アルマ望遠鏡以外の電波望遠鏡と協力して観測を行なう
VLBIが可能になります。より幅広い研究分野を対象とするため、
観測時間の獲得はこれまで以上に難しくなることが予想されます。
4月21日までの公募受付期間に、研究者はよい提案を提出し、
観測の実行を勝ち取るべく頭を悩ませることでしょう。
観測データから天体画像が作成され、研究成果に結びつく
までには時間がかかりますが、今までにない成果が生まれる
ことは間違いありません。サイクル4からどんな成果が発表
されるか、皆様も楽しみにお待ちください。
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自然科学研究機構 国立天文台 チリ観測所
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