2016. 7. 20

【ALMAメールマガジン】若い星のフラッシュが氷の円盤を焦がす

Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA)
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2016年 7月20日号
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今夜は「月齢16」、アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎若い星のフラッシュが氷の円盤を焦がす
アルマ望遠鏡による観測で、若い星オリオン座V883星を取り
囲むガスと塵の円盤が詳細に描き出されました。この観測から
は、円盤内で水が氷として存在する領域としない領域の境界線
(スノーライン)もはっきりとわかりました。氷は、塵粒子の
成長や小惑星・彗星の形成、さらには惑星の成長にも非常に
重要な役割を果たします。しかもこの星は、星の成長過程に
特有の急増光の途中にあります。こうした星のまわりで水の
スノーラインが明確に捉えられたのは初めてのことで、惑星
形成を理解する上で極めて重要です。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/0714post_663.html
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topics
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◎アルマ望遠鏡で見えてきた化学組成の多様性:
 原始星を取り巻く大型有機分子の回転リングを発見
東京大学の大屋瑶子氏、理化学研究所の坂井南美氏を中心とする
国際研究チームは、アルマ望遠鏡で若い原始星IRAS 16293-2422A
を観測し、半径約50天文単位の大型有機分子の開店リングを発見
しました。この結果は、星間空間起源の大型有機分子が惑星系に
供給されていることを示す直接的な証拠です。同時に、惑星系に
もたらされる有機分子が原始星によって異なることがわかりまし
た。このことは、宇宙における太陽系の普遍性・特殊性の議論に
化学組成という新しい視点が必要であることを示すものです。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/0628post_662.html
◎アルマ望遠鏡バンド1受信機の製造にゴーサイン
アルマ望遠鏡で一番低い周波数を担う「バンド1受信機」の製造
が、アルマ評議会で認められました。周波数35~52 GHz(波長 6
~8.5mm)の電波を受信するバンド1受信機が搭載されれば、アルマ
望遠鏡で観測可能な宇宙はさらに広がります。バンド1受信機が
搭載されることで、最も遠い宇宙での星形成ガス雲の観測や、若い
星の周囲で惑星の材料になるセンチメートルサイズの塵粒子の観測
が可能になるのです。開発と製造は台湾中央研究院天文及天文物理
研究所をはじめとする国際チームで行われ、国立天文台はマネジ
メントと光学系の設計に貢献しています。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/07061_4.html
◎アルマ望遠鏡、世界最高感度の偏波観測を達成
アルマ望遠鏡の科学評価観測データの解析により、アルマ望遠鏡
がミリ波の偏波観測において世界最高感度を有していることが
確認されました。偏波の観測は宇宙空間における「磁石の力
(磁場)」を調べるための重要な手段であり、超巨大ブラック
ホールからの高エネルギージェットの成因調査など、さまざまな
謎の解明に活用されることが期待されます。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/0719post_664.html
◎サンチャゴ日本人学校での七夕講演会
7月7日、恒例の七夕講演がサンチャゴ日本人学校で今年も開催
されました。講師は、米国のストーニーブルック大学から国立
天文台チリ観測所に客員准教授として来られている幸田仁さんです。
天の川銀河から遠くの銀河までの宇宙の広がりと、宇宙の誕生から
現在までの時間の広がりを紹介し、子どもたちにも保護者の皆さん
にも好評でした。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2016/0720post_666.html
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event
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◎8月20日(土)
アルマ望遠鏡が見る暗黒の宇宙
講演者:平松 正顕(国立天文台 チリ観測所)
時間:14:00 – 14:40、15:30 – 16:10
  科学ライブショー「ユニバース」内、10分ずつのゲストコーナーにおける講演。
場所:東京都千代田区 科学技術館
申込:不要
[詳細] 科学ライブショー「ユニバース」
http://universe.chimons.org/jsf/
◎8月27日(土) 9:30~16:00
国立天文台野辺山 特別公開2016
テーマ:『ブラックホールを探す旅に出かけよう』
テーマに関する特別講演会の他、さまざまな企画でわかりやすく
楽しく電波天文学や電波望遠鏡についてご紹介します。アルマ
望遠鏡プロジェクトでも、ジオラマやポスター展示、ミニ講演、
チリ現地のバーチャルリアリティー体験などを企画中です。
[詳細] 国立天文台野辺山 特別公開2016
http://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2016/open2016_top.html
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afterword
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今回のメールマガジンでは、バンド1受信機の製造と偏波(偏光)
観測性能の確認という、望遠鏡機能向上に関する2つの話題を
ご紹介しました。
アルマ望遠鏡は2011年9月に科学観測を開始し、2013年からは
本格観測に移行しています。アンテナ66台は2014年にすべて
揃い、科学観測ではこれまでにもご紹介しているように「アルマ
ならでは」の素晴らしい成果がたくさん出てきています。
天文学の進展は、それを支える観測装置の進展と軌を一にして
きました。アルマ望遠鏡が観測を開始したことで、これまで
見えなかったものが見えるようになり、わからなかったことが
わかるようになり、また理解していたと思っていたものに謎が
見つかり始めています。高い感度と解像度というアルマ望遠鏡の
「基礎能力」を土台にして、観測周波数帯を広げるバンド1受信機
と新しい観測モードを提供する偏波観測が追加されることで、
さらに新しい宇宙に手が届くことでしょう。今後も最新の成果を
わかりやすく面白くお伝えできるようにいたしますので、ぜひ
ご期待ください。
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自然科学研究機構 国立天文台 チリ観測所
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