2016. 6. 21

【ALMAメールマガジン】観測史上最遠方の酸素を捉えた!

Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA)
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2016年 6月21日号
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今夜は「月齢16」、アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎アルマ望遠鏡、観測史上最遠方の酸素を捉える
大阪産業大学の井上昭雄准教授、東京大学の田村陽一助教、
国立天文台の松尾宏准教授をはじめとする研究チームは、
アルマ望遠鏡を使って、131億光年かなたの銀河に電離した
酸素ガスがあることを初めて突き止めました。これは、観測
史上最遠方の酸素の発見です。酸素ガスは多数の若くて巨大
な星によって電離されていると考えられ、いまだ謎に包まれ
ている「宇宙再電離」を探る重要な手がかりになります。
今回アルマ望遠鏡で「宇宙再電離」期の酸素を検出できる
ことが実証されたことで、この謎の解明にアルマ望遠鏡が
大きな役割を果たすことが期待されます。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201606177957.html
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topics
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◎惑星誕生領域で初めてメタノールを発見
アルマ望遠鏡を使った観測により、若い星うみへび座TW星を
取り巻く円盤に有機分子メタノール(メチルアルコール)が
検出されました。惑星の誕生現場であるこうした円盤にメタ
ノールが発見されたのは、今回が初めてのことです。今回の
発見は、惑星誕生過程における化学反応や、最終的に生命の
誕生にもつながるような化学反応の理解を助けるものといえ
ます。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/0615post_659.html
◎巨大ブラックホールに吸い込まれる冷たい雲
米国イエール大学のグラント・トレンブレー氏を代表とする
国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、10億光年彼方の
楕円銀河の中心にある超巨大ブラックホールにガス雲の塊が
雨のように降る様子を、初めて捉えることに成功しました。
この観測は、冷たく密度の高いガスが銀河中心のブラック
ホールに落ちていく様子を直接捉えた初めての例です。さらに
この観測結果は、天文学者が持っていた「超巨大ブラックホール
がガスを吸い込んでいく様子」に対する理解を大きく書き換える
ものでもありました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/0609post_657.html
◎新たなデータ解析手法で見えてきた、ガス円盤に刻まれた惑星形成の確かな証拠
台湾中央研究院のイェン・シーウェイ氏と鹿児島大学の高桑
繁久教授らの研究グループは、アルマ望遠鏡による観測から、
若い星おうし座HL星の周囲のガスの円盤に二重の溝が存在して
いることを発見しました。おうし座HL星を取り巻く円盤に含
まれる塵の分布はアルマ望遠鏡の超高解像度観測から詳細に
明らかになっていましたが、ガスの分布がこれほど高解像度
で明らかになったのは今回の研究が初めてのことです。塵と
ガスの両方で同じ場所に溝が見られたことは、その場所で惑星
が形成されている強い証拠であり、100万歳という若い星の
周囲ですでに惑星が作られている可能性が高まったことで、
惑星形成のシナリオを大きく書き換える必要が出てきました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2016/0525post_654.html
◎日本地球惑星科学連合2016年大会にブース出展
5月22日から26日に千葉県・幕張メッセで開催された日本地球
惑星科学連合2016年大会に、国立天文台チリ観測所アルマ望遠
鏡はブース出展しました。ブースでは世界中から訪れた研究者
だけでなく高校生から大学院生の関心も高く、アルマ望遠鏡の
最新成果を解説しました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2016/06022016.html
◎ブエノスアイレス日本人学校での講演
5月20日、アルゼンチン・ブエノスアイレス日本人学校で、
国立天文台チリ観測所の水野範和准教授が講演を行いました。
星の一生やアルマ望遠鏡についての講演に、小学校低学年
から保護者・先生方までの幅広い参加者50名超が耳を傾けました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2016/0613post_658.html
◎日智商工会議所で阪本成一 チリ観測所長が講演
5月17日に開催された日智商工会議所5月例会で、国立天文台
チリ観測所の阪本成一所長が「「見えないひかり」で宇宙を
みる~アンデスの巨大電波望遠鏡ALMA」と題した講演を行い
ました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2016/0526post_656.html
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event
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◎8月27日(土) 9:30~16:00
国立天文台野辺山 特別公開2016
テーマ:『ブラックホールを探す旅に出かけよう』
テーマに関する特別講演会の他、さまざまな企画でわかりやすく
楽しく電波天文学や電波望遠鏡についてご紹介します。アルマ
望遠鏡プロジェクトでも、ジオラマやポスター展示、ミニ講演、
チリ現地のバーチャルリアリティー体験などを企画中です。
[詳細] 国立天文台野辺山 特別公開2016
http://www.nro.nao.ac.jp/visit/open2016/open2016_top.html
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afterword
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6月16日未明、2回目の重力波検出が発表されました。昨年12月
の初検出発表と同じくブラックホール連星が合体されるときに
放出される重力波を捉えたものでした。こうした現象が複数回
観測できれば、その現象がどれくらいの頻度で起きているのか、
ブラックホール連星は宇宙にどれくらいあるのかなど、さまざま
な情報を推測する大きな手掛かりになります。その意味でも、
いよいよ本格的に重力波天文学がスタートすることを実感させて
くれた発表でした。
アルマ望遠鏡でも今月は、131億光年彼方の銀河に酸素を発見
したという成果を発表しました。今回アルマ望遠鏡で酸素を
発見した銀河は、2012年にすばる望遠鏡で発見されたもので
した。また「活発に星を作る銀河で酸素が明るく光る」という
ことは、JAXA宇宙科学研究所の赤外線天文衛星「あかり」での
観測成果を参考にしたものでした。131億光年彼方の銀河でも
十分酸素が明るく見えるはずであると示したのは、スーパー
コンピュータによるシミュレーション研究の成果でもあります。
可視光・赤外線望遠鏡、電波望遠鏡、スーパーコンピュータが
手を取り合うことで、私たちは宇宙をよりよく調べることが
できるようになりました。重力波望遠鏡がここに加わることで、
どんな天文学が開けていくのか、とても楽しみです。
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自然科学研究機構 国立天文台 チリ観測所
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Millimeter/submillimeter Array(ALMA), NAOJ.
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