津久井崇史さん、アルマ望遠鏡を使った研究で井上研究奨励賞を受賞

オーストラリア国立大学(現在は東北大学)の津久井崇史さんが2024年度の井上研究奨励賞を受賞されました。

津久井崇史さんは、総合研究大学院大学先端学術院天文科学コースの大学院生として、国立天文台の井口聖教授のもとで研究を行い、博士論文「Formation and Evolution of Galactic Structures Using Gas and Stellar Kinematics(日本語題目:ガスおよび星の動力学を用いた銀河の構造形成とその進化の解明)」をまとめられました。学位取得後はオーストラリア国立大学を経て、現在は東北大学で研究をされています。

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津久井さんは、銀河の形成と進化について、「銀河の渦巻き構造がいつどのようにできあがったのか」という天文学の古典的な疑問に向かって研究を行っています。例えば2021年には、アルマ望遠鏡の観測データの中から、観測史上最古の渦巻き構造を持つ銀河を124億年前の宇宙に発見しました[1]。さらに2023年には、この銀河内の細かなガスの動きを調べ、遠方銀河における銀震(平坦な円盤構造に地震のように垂直に運動する振動波)の測定に初めて成功しました[2]。

今回の受賞を受けて津久井さんは「このたび、栄誉ある賞をいただけることになり大変光栄です。受賞対象となった研究は、世界で唯一の性能を誇るアルマ望遠鏡のデータを用いたものであり、その企画・建設・開発・運用に携わってこられたすべての方々に深く感謝いたします。また、ご指導くださった井口聖教授、そして天文台で支えてくださった多くの方々にも心から感謝いたします。これを励みに、これからも『面白い!』と思ってもらえるような最先端の研究を推進していきます。」とコメントしています。

井上研究奨励賞は、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年の間に博士の学位を取得した37歳未満の研究者で、優れた博士論文を提出した若手研究者に対し公益財団法人井上科学振興財団が贈る賞です。第41回(2024年度)井上研究奨励賞は40名の若手研究者に贈られました。井上科学振興財団による贈呈式 は、2025年2月5日に開催されました。

[1] 観測史上最古、124億年前の宇宙に渦巻き構造を持つ銀河を発見
https://alma-telescope.jp/news/press/spiral-202105.html

[2] 若い銀河円盤に伝わる地震波を検出
https://alma-telescope.jp/news/dancingdisk-202312.html

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