「これは、個々の望遠鏡の能力を超える、より野心的な科学プロジェクトを促進するための新しい枠組みです」と、アルマ側でこの共同提案の取り組みをリードしているセルヒオ・マーティン氏は説明しています。天文学者は1つの提案をアルマに提出することで、最大4つの望遠鏡で観測することができるようになります。
共同提案は、その科学目標を達成するために 2 つ以上の望遠鏡での観測を必要とする科学プロジェクトに特化した制度です。共同提案を1つの望遠鏡に提出すると科学的な審査が行われ、採択されると複数の望遠鏡での観測が認められます。したがって、研究代表者は、各望遠鏡に個別に提案を提出する必要がなくなります。提案の準備にかかる時間を短縮できるとともに、提案の審査が一度だけのため、同じ提案内容が何度も審査される状況を回避できます。
「多くの天文学の課題では、同じ対象を電磁波の広い周波数域にわたって観測する必要があります」と、ESO のアルマプログラムサイエンティストであるマリア・ディアス・トリゴ氏は言います。「アルマとESO のVLT (およびその干渉計) との共同提案により、天文学者は、例えば、星がその周囲の環境と相互作用するときのように、互いに近接する高温と低温の物質の両方を見ることができるようになります」と彼女は説明します。
サイクル 10 から始まる各サイクルで、アルマはJWSTについて最大 115 時間、VLTについて最大 50 時間、VLAについては利用可能な時間の最大5%を割り当てることができます。
「VLA では、世界をリードする2つの電波望遠鏡を必要とする、新しく革新的な科学プロジェクトを行うために、両者での観測時間を1つの提案で要求する機会を天文学コミュニティへ提供できることを嬉しく思います。この新しいプログラムによって、わくわくするような科学や発見が可能になると確信しています」と、NRAO のニューメキシコオペレーション担当アシスタントディレクターであるパトリシア・ ヘニング氏は喜びを語っています。
STScI の科学担当アソシエイトディレクターであるネイル・レイド氏は、次のように付け加えています。「ハッブルとNRAOは過去10年間にわたり科学的に有意義な協力関係を築いてきました。そしてコミュニティはそれを享受してきました。惑星形成から宇宙初期に至るまで、あらゆる分野で強力な科学的相乗効果があるのですから、JWSTの協力関係がアルマを含むように拡張されたことに興奮しています。」
同様に、JWST は、JWST サイクル 2 (2022年11月に提案募集開始)から、 1サイクルあたり最大 115 時間のアルマの観測時間を (12 m、7 mおよびトータルパワーアレイのそれぞれで) 割り当てることができます。VLAとVLTは、VLAの2023B期(2023年1月提案募集開始)とVLTの112期(2023年2月提案募集開始)から、それぞれ年間最大 50 時間のアルマの観測時間を割り当てることができるようになります。
カリフォルニア工科大学の天文学者であり、赤外線画像処理・解析センター (IPAC) の上級研究員であるフィリップ・アップルトン氏は、次のように述べています。「この協定は、天文学者が絶好の機会を活用できるようにするものです。JWST の秒角以下の解像度とアルマの驚くべきパワーを組み合わせて、同様の空間スケールで塵や分子を検出するのです。」
共同提案の申請方法の詳細は、各観測所からお知らせします。共同提案に関するご質問は、アルマヘルプデスク(https://help.almascience.org/)までお寄せください。