アルマ望遠鏡のトータルパワーGPU分光計(TPGS:Total Power GPU Spectrometer)は、このたび基本設計審査を無事に通過しました。TPGSは、現在運用されているACAトータルパワーアレイ用分光計の後継機として、性能向上が著しい最先端のGPUを使って、膨大な量の計算を実時間でおこなうことで、より広い帯域幅と高い分光性能を実現します。この新たな分光計は、アルマ望遠鏡の機能強化(Wideband Sensitivity Upgrade:広帯域感度アップグレード)への東アジアからの大きな貢献の一つであり、韓国天文宇宙科学研究院(Korea Astronomy and Space Science Institute: KASI)と国立天文台が協力して開発を進めています。
基本設計審査とは、システムの要求仕様や外部インターフェースの妥当性、開発の進捗、基本設計の実現可能性、リスクなどを評価する重要なプロセスです。この審査のために、開発チームは設計文書を12月初旬に提出しました。その後、国内外の審査員や関係者から多くの質問やコメントを受け取り、それらに対して個々で深い議論を約2ヶ月かけて行いました。そして開発チーム、国内外からの審査員や関係者が一同に会して全体議論を行う審査会が2026年1月28日から29日にかけて韓国の大田において開催されました。この審査会では、さまざまな技術的な課題や外部インターフェースとの整合性について議論が交わされ、審査委員会が最終的な審査を行いました。
審査委員会からは、設計全体の整合性や技術的成熟度について高い評価が示されました。一方で、今後の開発を進める上で考慮すべき点についても、建設的な助言が提示されました。TPGS開発チームは、今回の基本設計審査で得られた評価および助言を踏まえ、引き続き国際的な協力体制のもとで開発を進め、アルマ望遠鏡の科学性能向上と将来にわたる安定した観測運用への貢献を目指していきます。
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審査会参加者の集合写真(クレジット:NAOJ / KASI)
審査会の様子(クレジット:NAOJ / KASI)
審査会の様子(クレジット:NAOJ / KASI)