アルマ望遠鏡は、初めてのアート展示を迎え入れました。標高5000mの山頂施設にあるアンテナの横にあるのは、とてつもなく大きなゴルフボールです。空気を入れて膨らんだこのアート作品は、ミックス・ゲームという旅するプロジェクトの一部です。作者は、ポーランド人のDagmara Wyskiel氏で、彼女はチリ北部のアントファガスタに10年以上住んでいます。
- Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Dagmara Wyskiel
- Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Alex Moya.
現代美術家であるWyskiel氏は、グラフィックデザインやアート教育、文化的発展に関する作品も発表しています。「”ミックスゲーム”は、風景の中の様々なオープンスペースに、謎めいた、しかし視覚的には違和感のない物体を導入するプロジェクトです。この物体が暗示しているのは、人類が熱心に飽くことなく宇宙の持つ意味を探求することや、遥かな場所からの『波』を受信するという営みから、最終的に現れるだろう何物かなのです。この作品が提起する問題は、一見すると見慣れているにもかかわらず、全く思いがけなく現れるような存在が、我々がふつう心に抱いているイメージを裏切るということです。」
アルマ望遠鏡では日々、66台のアンテナのメンテナンスという重要な任務にあたるスタッフがいます。彼らにとってこの巨大な球体の出現は、一種の手品か幻のようにも思えたことでしょう。近づいて見てみると、驚くべき物体がその正体を現しました。
合同アルマ観測所所長のピエール・コックス氏は次のようにコメントしています。「質の高いアート作品が最先端の科学と対置されることはとても貴重な機会であり、双方のもつ意味を新たな観客に伝える役目を持ちます。突きつめて言うならば、自らの目的を達成するために想像力を自在に解き放つ必要がある、という点において、芸術家と天文学者は変わらない存在なのです。」
下の画像: Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Pablo Carillo.