アルマ望遠鏡運用に関する三者協定書に署名

2015年12月15日、日本の自然科学研究機構(NINS)、欧州南天天文台(ESO)、米国国立科学財団(NSF)は、アルマ望遠鏡の運用に関する三者協定書に東京で署名を行いました。この協定により、三者によるアルマ望遠鏡の国際協力運用を今後20年にわたって継続する枠組みが確定しました。

2001年4月、東京で開催されたアルマ調整委員会会議(ALMA Coordination Committee: ACC)において、日米欧は協力してアルマ望遠鏡を建設する協議書に署名を行いました。その後、2001年11月にはアメリカで、2002年7月にはヨーロッパで建設予算が承認されましたが、日本は建設予算が認められず、米欧は2003年に二者協定書を締結して「アタカマ大型ミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter Array: ALMA)」の建設を開始しました。その後、日本の建設予算も認められ、2004年9月に日本が加わった形での協定書に署名を行い、日本が開発するサブミリ波受信機の貢献を含めて望遠鏡の正式名称もAtacama Large Millimeter/submillimeter Array(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)と変更されました。

その後の建設と初期科学観測は米欧二者協定とESO/NSF/NINS協定に基づいて行われてきましたが、アルマ望遠鏡が2013年に開所式を執り行い本格的な観測を開始したことから、国際協力による安定的な科学運用を支えるための新たな協定書の策定をこれまで行ってきました。その協定書が完成し、このたびの署名式典開催となりました。

東京都内で行われた署名式には、日・米・欧から16名が集いました。佐藤勝彦 自然科学研究機構長、ティム・ドゥズー ESO台長のスピーチおよびフランス・コルドバ NSF長官のビデオメッセージの後、コルドバ氏に代わってフレミング・クリム NSF副長官が登壇し、佐藤機構長、ドゥズーESO台長と3名で協定書に署名を行いました。

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協定書に署名する、左から ティム・ドゥズー ESO台長、佐藤勝彦NINS機構長、フレミング・クリムNSF副長官。
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

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スピーチする佐藤勝彦 NINS機構長
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

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スピーチするティム・ドゥズーESO台長
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

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ビデオメッセージを寄せたフランス・コルドバNSF長官
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

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署名の後で握手を交わすティム・ドゥズー ESO台長、佐藤勝彦NINS機構長、フレミング・クリムNSF副長官。
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

スピーチの中で佐藤機構長は、「自然科学研究機構としても、責任ある立場としてアルマ望遠鏡の運用に貢献し、より多くの科学的成果が生み出されることを強く期待したいと思います。」と述べています。またコルドバNSF長官は「素晴らしい望遠鏡を実現するには、素晴らしいパートナーシップが必要です。今回完成した三者協定は、その証となります。宇宙をよりよく理解したいと願う私たち三者がここに署名したことで、アルマ望遠鏡の明るい未来が約束されたのです。」と述べています。さらに、アルマ望遠鏡が続々と科学成果を挙げていることを受けて、ドゥズーESO台長は次のように述べています。「昨年東京で開催されたアルマ国際研究会は、天文学全体を大きく変える夢のような装置が実際に稼働しているということを強く印象付けるものでした。アルマ望遠鏡の威力は今後ますます高まっていくと、私は確信しています。これは、先見性と熱意のある個々人が30年にわたり地道な活動を継続し、ついにそれを実現したということの証です。」

署名式典の後、ESOとNSFからの訪問者は国立天文台三鷹キャンパスを訪問し、林正彦 国立天文台長の案内で4次元デジタル宇宙シアターや天文台歴史館、重力波検出装置TAMA300、先端技術センターの視察を行いました。

式典に参加した自然科学研究機構及び国立天文台、ESO、NSFの面々。
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

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