(写真提供:千葉大学)
千葉大学先進科学センター 特任助教の札本佳伸(ふだもと よしのぶ)氏は、「遠方銀河の多様な物理的性質の観測的解明」に関する研究業績により、同賞を受賞しました。札本氏は銀河の形成進化の研究に取り組んできました。宇宙初期に存在する高赤方偏移銀河を、アルマ望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などを用いて観測し、理論と照らし合わせることで、その成り立ちを解き明かすことを目指しています。
国立天文台アルマプロジェクト特任研究員(当時)だった2021年の研究成果「観測史上最古の「隠れ銀河」を131億年前の宇宙で発見」では、塵に深く埋もれ、すばる望遠鏡などの光学望遠鏡では発見できない初期宇宙の銀河で、当時としては最古のものを、アルマ望遠鏡の大規模探査のデータを用いて発見しました。
札本氏は今回の受賞にあたり、以下のようにコメントしています。
「このたびは名誉ある賞をいただき大変光栄に思います。これも、共同研究者の皆様をはじめ、アルマ望遠鏡に携わるすべての皆様のおかげです。思い返すと、私が大学院生になろうという頃にアルマ望遠鏡Cycle 0観測が始まり、それ以来観測のたびに大発見が途切れることなく続いています。
2021年に、アルマ望遠鏡の大規模探査データを調べているときに、ハッブル宇宙望遠鏡などの可視・近赤外望遠鏡では検出も観測もできない『塵に埋もれた銀河』が宇宙初期にも存在していることを発見したことは、自分でも全く予期していない驚きでした。望遠鏡の観測データを丁寧に、そして正面から先入観にとらわれずみつめ、宇宙という想像を超えた大自然が垣間見せてくれるものを受け止める大切さを学ぶことができました。
近年はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の登場により、アルマ望遠鏡の活躍の場が大きく広がりを見せており、さらには、今後大きなアップグレードを控えています。アルマ望遠鏡が新しい観測領域に踏み込む度に、また新たな扉を開いてくれるものとわくわくしています。これまでの観測と研究で得た感動と学びを多くの方に伝えるべく、これからもアルマ望遠鏡とそして天文学に携わるすべての仲間と共に天文学研究を切り開いていきたいと考えています。」
札本佳伸特任助教が令和8年度科学技術分野文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞(千葉大学先進科学センター トピックス 2026年4月13日)
アルマ望遠鏡関連では、観測システムの開発から望遠鏡を利用した観測成果まで、様々な局面で、これまでに文部科学大臣表彰を受賞しています。(肩書はすべて当時のもの)
令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
受賞者名:片岡章雅(国立天文台 助教)
受賞業績:数値計算とミリ波偏光観測を用いた惑星形成過程の研究
令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
受賞者名:泉拓磨(国立天文台 准教授)
受賞業績:活動銀河核周辺物質の多彩な構造に関する観測的研究
令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
受賞者名:梅畑豪紀(名古屋大学高等研究院 特任助教)
受賞業績:原始銀河団の活動銀河をつなぐ宇宙網の研究
令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
受賞者名:小嶋崇文(国立天文台先端技術センター 准教授)
受賞業績:電波天文用受信機の高感度化および広帯域化に関する研究
受賞者名:橋本拓也(筑波大学数理物質系 助教)
受賞業績:電離酸素の輝線を用いた様々な最遠方銀河の観測的研究
平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)
受賞者名:齋藤正雄(国立天文台 准教授)、水野範和(国立天文台 准教授)、川口昇(三菱電機株式会社通信機製作所 主管技師長)、大島丈治(三菱電機株式会社通信機製作所 プロジェクト部長)、井口聖(国立天文台教授)
受賞業績:超高精度サブミリ波望遠鏡ALMAアンテナの開発
平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)
受賞者名:石黒正人(国立天文台 名誉教授)、長谷川哲夫(国立天文台 教授)、井口聖(国立天文台 教授)
受賞業績:高精度天体画像観測を可能にする開口合成型電波望遠鏡の研究
平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)
受賞者名:鵜澤佳徳(国立天文台 准教授)、藤井泰範(国立天文台 技術員)、王鎮(情報通信研究機構 グループリーダー)
受賞業績:窒化ニオブ系超伝導体によるテラヘルツ検出技術の先駆的研究