アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2019年3月22日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎132億年前の宇宙に存在した大量の塵の観測に成功!
~宇宙初期の星形成史をさかのぼる~
名古屋大学の田村陽一准教授らの研究チームは、アルマ望遠鏡を使って、
地球から132億光年離れたところにある銀河MACS0416_Y1を観測し、この銀河に
大量の酸素と塵を発見しました。塵が見つかった銀河としては、同じくアルマ
望遠鏡が発見したものに続き、観測史上2番目に遠い記録です。
酸素や塵は、星が死ぬことによって宇宙にばらまかれます。今回検出された塵
の総量は太陽質量の400万倍にも及びます。つまり今回の発見は、宇宙誕生後
6億年の間に大量の星の生死が繰り返されたことを示しています。
今回の観測とハッブル宇宙望遠鏡等による観測結果を合わせたところ、この
銀河は宇宙誕生から3億年が経過した頃に生まれ、6億年が経過した頃に再度
活発な星形成活動を起こしていることが明らかになりました。この成果は、
私たちのまわりにある元素がいつどのように作られたのかという現代天文学の
大きなテーマに迫るものといえます。
http://c.bme.jp/14/924/60/5462
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topics
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◎地球型惑星の形成現場を描き出す~アルマ望遠鏡で捉えた原始ミニ太陽系~
国立天文台ハワイ観測所の工藤智幸氏らの国際研究チームは、アルマ望遠鏡
を使って若い星おうし座DM星の周りに存在する円盤の構造の詳細な観測を行い
ました。おうし座DM星の周囲の原始惑星系円盤の塵の分布をこれまでにない
高い空間解像度でとらえることに成功し、私たちの太陽系とよく似た構造が
描き出されました。中心の星の質量こそ太陽の半分ほどですが、太陽系の
小惑星帯、天王星、そしてその外側に広がるエッジワース・カイパーベルト
と似た位置に、塵の環が存在していたのです。やがてこの星のまわりでも
惑星が誕生するであろうことから、今回の発見は太陽系の成り立ちを知る上
でも重要な成果といえます。
http://c.bme.jp/14/924/61/5462
◎アルマ望遠鏡、赤ちゃん星が放つふたつの「産声」の起源を明らかに
九州大学の大学院生 松下祐子氏と町田正博准教授らの研究チームは、アルマ
望遠鏡を使ってオリオン座の原始星MMS5/OMC-3を観測し、この星から両極方向に
噴き出す2種類のガス流の分布と運動のようすを詳細に明らかにしました。そして
その形状と速度から、これらのガス流が、原始星の周囲の異なる場所から独立に
噴き出していることを突き止めました。ガス流は原始星の成長にとって大きな
影響を与える現象であり、その放出源の解明は宇宙の基本構成要素である星の
質量の決定メカニズムを理解するうえで非常に重要な意味を持ちます。
http://c.bme.jp/14/924/62/5462
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afterword
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東京では桜の開花宣言がなされ、三鷹市にある国立天文台でも枝垂桜の花が
続々と開いています。キャンパス内の木々も徐々に緑を取り戻し始め、本格的な
春の訪れを感じる今日この頃です。
今回のメールマガジンでは、若い星の観測成果を2件と遠い宇宙の観測成果を1件
ご紹介しました。おうし座DM星の観測成果はNHK「おはよう日本」でも紹介されて
いましたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。宇宙にある様々な
天体を観測できるアルマ望遠鏡は、多くの研究者に利用され、それぞれの分野で
新しい宇宙の姿を見せてくれています。
3月から4月は、アルマ望遠鏡に関わる研究者たちが忙しくなる時期です。それは、
毎年4月中旬に、次の観測シーズンに向けた観測提案の提出締切があるからです。
今年の締切は、4月17日に設定されています。高性能なアルマ望遠鏡を使いたい
研究者は世界中に多くいるので、競争率は毎年およそ4倍と高い値を維持しています。
「こんな観測をしたら、こんなことがわかるはずだ」と理詰めで夢を見る観測提案
準備は楽しくもあり、また厳しくもある作業です。プレスリリースなどで発表される
成果の「種」は、こうして仕込まれていくのです。目を見張るような成果を期待し
つつ、世界中の研究者に声援を送っていただければと思います。
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