アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2019年4月21日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎史上初、ブラックホールの撮影に成功
~地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る~
2019年4月10日、イベント・ホライズン・テレスコープ(地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力
プロジェクト)は、世界6か所の同時記者会見において、巨大ブラックホールとその影の存在を初めて画像で
直接証明することに成功したことを発表しました。今回撮影された画像は、おとめ座銀河団の楕円銀河M87の中心に位置する巨大ブラックホールです。このブラックホールは、地球から5500万光年の距離にあり、
その質量は太陽の65億倍にも及びます。
今回観測に使用された望遠鏡は、アルマ望遠鏡(チリ)、APEX(チリ)、IRAM30m望遠鏡(スペイン)、アルフォンソ・セラノ大型ミリ波望遠鏡(メキシコ)、サブミリ波干渉計(米国ハワイ)、ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(米国ハワイ)、サブミリ波望遠鏡(米国アリゾナ)、南極点望遠鏡(南極)の8つ。アルマ望遠鏡は、ミリ波を観測できる望遠鏡の中で世界最大であり、今回のプロジェクトで重要な役割を担っています。アルマ望遠鏡の感度が高いことで、ほかの望遠鏡のデータと結合する際に高い精度を保証することができ、今回の大きな成果につながったといえます。
https://alma-telescope.jp/news/press/eht-201904
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Topics
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◎アルマ望遠鏡で迫る大質量連星系の起源 ~誕生のダイナミクスを解明~
理化学研究所(理研)開拓研究本部坂井星・惑星形成研究室のイーチェン・チャン基礎科学特別研究員、
大阪大学宇宙地球科学専攻の田中圭特任研究員(国立天文台)らの国際共同研究グループは、アルマ望遠鏡を用いて、形成段階にある「大質量星の連星系」を発見し、公転運動の解明に成功しました。
大質量星は太陽の8倍以上の質量を持つ恒星のことで、そのほとんどは連星系として存在しています。大質量星は、高密度なガス雲が重力的に収縮することで生まれると考えられていますが、その誕生過程は、分厚いガスの雲に覆われているため観測が困難とされてきました。
本研究成果は、誕生時の大質量連星系のダイナミクスを明らかにした初めての例であり、まだ謎の多い大質量連星系の誕生過程を調べる鍵となることが期待されています。
https://alma-telescope.jp/news/press/iras07299-201903
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Afterword
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ブラックホール記者会見の翌日、国立天文台三鷹キャンパスの展示室でパンフレットを補充していると、
見学に来られた50代ほどの男性が声をかけてくださいました。アルマ望遠鏡の資料をお渡しすると、「昨日のブラックホールのニュースを見て、ちょっと寄ってみました。いいところですね。」と。いつも天文台の近くを通ってはいたものの、これまで一度も見学されたことがなかったそうです。アンテナの模型を見ながら、「これでブラックホールを観測したとは、すごいですね。」と興味をもってくださり、うれしいひとコマでした。
国立天文台三鷹キャンパスでは、今回のブラックホール観測で重要な役割を果たしたアルマ望遠鏡の模型展示などを行っています。三鷹キャンパスは緑豊かな景色が広がっていて、天文台の雰囲気を感じながらお散歩も楽しめます。やわらかな春の陽射しの中、ぜひ展示室にも足を運んでくださいね。
https://www.nao.ac.jp/access/mitaka/facilities/
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