2017. 11. 5

【ALMAメールマガジン】 三日月とリングは惑星誕生のサイン

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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン

ALMA Mail Magazine 2017年11月5日号
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今夜は「月齢16」
アルマ望遠鏡の話題をお届けします。

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pick up!
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◎三日月とリングは惑星誕生のサイン

アルマ望遠鏡が、若い星オリオン座V1247星の
まわりの塵(ちり)の環の姿を写し出しました。
この画像では、2種類の環があるように見えます。
内側の環は星をぐるりと取り巻くくっきりとした環
ですが、外側の環は三日月形をした淡いものです。

三日月型の塵は、研究者が探し求めていた
ダストトラップではないかと考えられます。惑星
形成の研究において大きな問題となっている
のは、小さな塵が中心星に落下することなく
どのようにして合体成長して惑星になるのか、
という基本的とも思える謎です。ダストトラップが
実際に発生しているのであれば、圧力によって
塵は円盤内の特定の場所に掃き集められるので、
星に落下することなく成長することができます。
https://alma-telescope.jp/news/v1247-ori-201710

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topics
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◎死にゆく星からの恒星風の加速、酸化アルミニウム形成が引き金
―アルマ望遠鏡が明かすケイ酸塩に乏しい質量放出星の謎―

瀧川 晶 京都大学白眉センター 特定助教を
中心とする研究チームは、アルマ望遠鏡を用い
漸近巨星分枝星うみへび座W星の周りのAlO
ガス分子とSiOガス分子の分布をこれまでにない
高い精度で捉えることに成功しました。AlOガス
分子の分布は中心星近傍のダスト分布とよく
一致しており、AlOガスから酸化アルミニウム
ダストが過去の観測通り形成されていることが
わかります。一方でSiOガス分子は5恒星半径
以遠まで拡がっており、ガスからケイ酸塩ダスト
が作られる割合が低いことも発見しました。恒星
の近くで形成・成長した酸化アルミニウムダスト
が恒星からの光を受けて質量放出風の加速を
助け、結果としてケイ酸塩ダストの形成を妨げた
と考えられます。本結果は、酸化アルミニウム
ダストが豊富でケイ酸塩ダストに乏しい漸近巨星
分枝星でのダスト形成の謎を解く鍵となる発見です。
https://alma-telescope.jp/news/press/whya-201711

◎秋山永治氏、日本惑星科学会2016年度
 最優秀研究者賞を受賞

国立天文台チリ観測所の秋山永治 特任助教が、
日本惑星科学会の2016年度最優秀研究者賞を
受賞しました。9月27日~29日に大阪大学で
開催された日本惑星科学会2017年秋季講演会で、
秋山氏が「観測が明かす原始惑星系円盤と惑星
系の姿」と題して受賞記念講演を行ったほか、
授賞式が執り行われました。
https://alma-telescope.jp/news/akiyama_jsps-201710

◎チリの経済団体ICAREから表彰を受ける

アルマ望遠鏡プロジェクトが、チリの経済団体
ICAREからチリの経済発展に貢献したとして
表彰を受けました。表彰式はチリ・サンティアゴで
行われ、国立天文台からは阪本成一 チリ観測所長が
出席しました。
https://alma-telescope.jp/news/award-icare-201710

◎三鷹・星と宇宙の日2017

10月13日(金)、14日(土)に三鷹・星と宇宙の日
が開催されました。国立天文台三鷹で、施設
公開、講演、展示によって最新の天文学を
お知らせする、年に一度のイベントです。今年は
あいにくの空模様のため、望遠鏡を使った観望会
や観測体験などは中止となる企画もありましたが、
足下の悪い中、たくさんの方にご来場いただきました。
https://alma-telescope.jp/news/mitakaopenhouseday-201710

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afterword
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三鷹・星と宇宙の日にお越しいただき、ありが
とうございました。「冷たい宇宙・熱い宇宙」の
テーマに沿って、研究のホットな話題をクールに
お伝えできましたでしょうか。ご来場できなかった方、
聴講できなかった方には講演映像をご用意しています。
長年研究に携わってきたベテラン研究者が特別講演を
行ないました。
https://www.youtube.com/watch?v=5XJwsr9mcxA&t=3483s

アルマ・ミニ講演では、アルマ望遠鏡の「今」を
支える若手研究者に講演を依頼しました。秋山
永治氏は、メールマガジン今号のニュース「日本
惑星科学会2016年度最優秀研究者賞を受賞」
の受賞者です。惑星形成に関する研究において
大きな成果を挙げたことが評価されました。
https://www.youtube.com/watch?v=R2F2WemxRsA

もう一人の但木謙一氏は、メールマガジン前号
のニュース「銀河の形を運命づけた110億年前
の転換現象」の筆頭研究者です。遠い銀河の
観測においてどのような困難があり、どうやって
それを克服したのか、研究の過程をお話ししています。
https://www.youtube.com/watch?v=cpHUhcIPdwA

冬に向かい、星空がきれいな季節になってきま
した。しかし季節の変わり目は天候の悪い日も
多くあります。そんなときは温かいお部屋の中
でゆっくりと講演を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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