2017. 10. 6

【ALMAメールマガジン】 銀河の形を運命づけたものとは?

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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン

ALMA Mail Magazine 2017年10月6日号
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今夜は「月齢16」
アルマ望遠鏡の話題をお届けします。

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pick up!
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◎銀河の形を運命づけた110億年前の転換現象
~すばる×ハッブル×アルマの最強タッグで完全解剖~

現在の宇宙にある最重量級の銀河は楕円の
形をしていますが、その多くは、かつては私たち
が住む天の川銀河のような円盤状の形をして
回転していたと考えられています。古代の銀河は、
いったいどのようにしてその姿形を変えたので
しょうか?その答えの鍵は銀河の星々の多くが
生まれた今から110億年前の宇宙にありました。

マックスプランク地球外物理学研究所・国立
天文台の但木謙一学振特別研究員と東北大学
の児玉忠恭教授を中心とする国際チームは、
従来の定説である『銀河の衝突合体説』に加えて、
別の進化経路があったことを示す決定的な証拠を
発見しました。世界最高性能の望遠鏡群(すばる・
ハッブル・アルマ)を駆使して、110億光年彼方の
銀河の中心部で新たな星が爆発的に生まれて
いることを突き止めました。この激しい星形成
活動により、銀河は合体をしなくても、自らその
形を変えることができたのです。
https://alma-telescope.jp/news/press/galactic_metamorphosis-201709

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topics
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◎赤ちゃん星と彗星にクロロメタンを発見
―地球外生命の指標としては不適格か

アルマ望遠鏡を用いた観測で、生まれたばかり
の赤ちゃん星が集まるIRAS 16293-2422のまわ
りに、クロロメタン(CH3Cl)が発見されました。
また、ヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機ロゼッタ
も、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星で同じくクロロ
メタンを発見しました。この分子は地球上では
人間が工業的に作り出しているほか、微生物が
その生命活動の一環として作り出していますが、
宇宙にもこの分子が多く存在することが今回の
発見で明らかになりました。
https://alma-telescope.jp/news/ch3cl-comet-201710

◎高感度電波望遠鏡と天文学専用スパコン、
電子情報通信学会マイルストーンに選定

電子情報通信学会マイルストーンは、一般社団
法人 電子情報通信学会が2017年に100周年を
迎えるのを記念し、「我々の社会や生活、産業、
科学技術の発展に大きな影響を与えた研究
開発の偉業」を選び、電子情報通信の研究開発
の歴史と意義を振り返るとともに、さらなる革新
を起こす次代の研究者や技術者にその創出過程
を伝えることを目的としています。
国立天文台が開発・運用に携わってきた高感度
電波望遠鏡と天文学専用スーパーコンピュータが、
電子情報通信学会が選定する「電子情報通信
学会マイルストーン」に選ばれました。
https://alma-telescope.jp/news/ieice-milestone

◎年老いた星ポンプ座U星を取り囲むガスの泡

ポンプ座は南天にある目立たない星座ですが、
その中でひっそりと赤く輝くのがポンプ座U星
です。地球から約850光年の距離にあるこの星は、
星の一生の最期の時期にさしかかっています。
年老いた星は一般にガスを噴き出すことが知ら
れており、今回アルマ望遠鏡が描き出した星の
まわりのガスの泡もこうして星から噴き出した
ものです。これまでの望遠鏡に比べて圧倒的に
シャープな天体画像を得ることができるアルマ
望遠鏡だからこそ、この星のまわりの様子を
美しく描き出すことができました。
https://alma-telescope.jp/news/uu-pump-201709

◎チリを縦断するアルマ望遠鏡とのふれあいの輪

アルマ望遠鏡では、立地するチリの各地で成果
を紹介する展示や天体観望会を企画しています。
現地運用を担う国際組織「合同アルマ観測所」
が主導する形で行われているこれらのイベントは、
首都サンティアゴとその近郊はもちろんのこと、
南北に細長いチリの南端ティエラ・デル・フエゴ
でも開催されました。そしてアルマ望遠鏡の地元
の町サンペドロ・デ・アタカマでは、日智友好120
周年を記念して、国立天文台と合同アルマ観測
所、サンペドロ・デ・アタカマ市の協力により七夕
イベントを開催しました。
https://alma-telescope.jp/news/jao-outreach-201709

◎野辺山特別公開2017

チリ観測所では、国立天文台野辺山の特別
公開に毎年参加し、チリのアルマ・アステ望遠鏡
についての展示を行なっています。
アルマ・アステパートでは、ポスター、映像に加え、
チリ現地の地形とアンテナ位置を再現したジオラマ
や、天体からの電波を受信する受信機を展示し、
アルマ望遠鏡の最新成果を研究者や技術者が
解説しました。毎年好評のアルマ・ミニ講演会は、
多い回は立ち見も出るほどの盛況で、計4回で
のべ200名ほどの方が参加しました。
https://alma-telescope.jp/news/nro-open-201709

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event
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◎10月13日午後2時~7時・14日午前10時~午後7時
三鷹・星と宇宙の日2017
13日は限定的なプレ公開、14日は本公開
会場:国立天文台三鷹(東京都) 他

内容:ポスター展示、映像上映、アルマ望遠鏡受信機展示、
ミニ講演会、アルマVR体験、他
https://www.nao.ac.jp/open-day/2017/

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afterword
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pick up!の観測成果のターゲットは、110億光
年先の非常に遠い銀河です。現代の高性能
望遠鏡をもってしても宇宙は広大で、遠くの
銀河をはっきりと見るのは難しいことです。
そこで今回は、「すばる×ハッブル×アルマの
最強タッグ」とあるように複数の望遠鏡による
観測で、遠くの銀河をまるで解剖するように、
その内部構造を描き出すことに成功しました。
その結果、銀河が互いに合体するのではなく
内部での激しい星形成によって自ら形を変え
た証拠をつかんだのです。
可視光を中心に観測するすばる望遠鏡や
ハッブル宇宙望遠鏡と電波を観測するアルマ
望遠鏡では、見える物が違います。アルマ
望遠鏡は今までの電波望遠鏡では難しかった、
可視光望遠鏡に匹敵する驚異的な分解能を
手に入れました。様々な高性能望遠鏡を駆使
することで宇宙のはじまりの様子が少しずつ
解明されています。

来週、10月13日・14日は国立天文台三鷹の
特別公開、三鷹・星と宇宙の日です。今年の
テーマは「冷たい宇宙・熱い宇宙」、アルマが
得意な冷たいちりやガスから、熱い太陽や恒星、
そしてほどよい温度の惑星や宇宙における
生命まで、研究の最前線にふれることができ
ます。ぜひお越しください。
https://www.nao.ac.jp/open-day/2017/

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