2020. 2. 10

【ALMAメールマガジン】衝突中の銀河における超巨大ブラックホールとガスの波乱の生涯

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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2020年2月10日号

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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。


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Pick up!
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◎衝突中の銀河における超巨大ブラックホールとガスの波乱の生涯

アルマ望遠鏡は、成長を続ける2つの超大質量ブラックホールを取り巻くガスをこれまでにない精度でとらえました。地球から4億光年離れたへびつかい座の方向にある銀河NGC 6240では、2つの銀河が衝突しています。この衝突によって、それぞれの銀河の中心にある超大質量ブラックホールもやがて合体し、ひとつの超巨大ブラックホールになるとみられます。研究チームは、この銀河の中で星を作る材料となる分子ガスについて詳しく調べ、分子ガスが2つのブラックホールの間に細くのびた糸や泡のように広がっていることを明らかにしました。また、分子ガスの質量を測定することによって、これまで見積もられていた2つのブラックホールの質量の質量をより正確に求めることができました。
https://alma-telescope.jp/news/ngc6240-202001


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Topics
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◎彗星と星形成領域にリンを含む分子を検出 -アルマ望遠鏡と彗星探査機ロゼッタの協働

私たちのDNAや細胞膜に存在するリン(P)は、生命にとって不可欠な元素です。ヨーロッパの天文学者のチームは、アルマ望遠鏡と欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機ロゼッタの力を合わせ、星形成領域と彗星の両方でリンの検出に成功しました。リンを含む分子が形成される場所はどこなのか、リンはどのようにして彗星に運ばれるのか、更には、特定のリン分子が地球の生命誕生に重要な役割を果たした可能性があることを初めて明らかにしました。
https://alma-telescope.jp/news/phosphorus-202001


◎モリタアレイ向け新型分光計最終設計・製造審査会を開催

2019年12月4日~12月5日にかけて、モリタアレイ向け新型 GPU分光計の最終設計・製造審査会が韓国で開催され、アルマ望遠鏡の機能強化に資する東アジア地域での技術開発がまた一歩前進しました。この分光計は、韓国天文宇宙科学研究院(Korea Astronomy and Space Science Institute: KASI)と国立天文台が協力して開発しています。
https://alma-telescope.jp/news/spectrometer-202001


◎アルマ望遠鏡がとらえた、連星系を成す星の最期

研究チームは、アルマ望遠鏡とその隣で欧州が運用する口径12m電波望遠鏡APEXによる観測を組み合わせ、連星系HD 101584を観測しました。今回描き出された赤色巨星のまわりのガス雲は、星々の重力的な争いによって生み出されたものですが、太陽のような星の最期の姿をよりよく理解するための手がかりを天文学者に与えてくれています。
https://alma-telescope.jp/news/doublestar-202002


◎国立天文台講演会 / 第24回アルマ望遠鏡講演会を開催

国立天文台講演会 / 第24回アルマ望遠鏡講演会が2月2日(日)、東京国際交流館(東京都江東区)で開催されました。講演のテーマは、「アルマ望遠鏡で迫る銀河の誕生と進化」。アルマ望遠鏡による銀河研究の全体像をはじめ、遠方銀河、近傍銀河、それぞれの専門家をお招きして最新の科学成果をご紹介しました。
https://alma-telescope.jp/news/naoj-public-talk-202002


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Events
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◎ロクトサイエンスレクチャー
 暗黒の宇宙と私たちのルーツ:アルマ望遠鏡が解き明かす謎

日 時:2020年3月21日(土)17:10~18:40
会 場:多摩六都科学館 サイエンスエッグ
講 師:平松 正顕(国立天文台 アルマプロジェクト 助教)
対 象:新小学5年生~大人
定 員:150名 (web申込100名、当日申込50名)
参加費:入館券のみ(大人520円 小学生~高校生210円)
申 込:事前申込…web先着順(※2/20(木)より先着順)/当日申込…当日開館時より先着順
詳 細:https://www.tamarokuto.or.jp/event/index.html?c=event&info=2233&day=2020-03-21


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Afterword
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チリ・アタカマ砂漠は、夏真っ盛りを迎えています。「世界で最も降水量の少ない地域」として知られていますが、ときには雷雨の日もあります。じつは、1月中旬から2月下旬の間は「ボリビアン・ウィンター」と呼ばれる雨期にあたります。アマゾン(ボリビア方面)から湿った空気が流れ込み、大気が不安定になりやすく、雪になることもあります。


雪が降った場合は、アルマ望遠鏡は観測を中止するという規定があります。アルマ望遠鏡の観測装置を守るためです。装置を守るといっても、アンテナを1台1台移動させたり、カバーをかけたりするわけではありません。アンテナを風下に向けて傾けるのです。この姿勢を、「サバイバルポジション」と呼びます。アンテナの向きがほぼ真横になっている状態で、強風がアンテナ表面に直接当たることを避け、アンテナの表面に雪が積もりにくいようにしているのです。


ボリビアン・ウィンターの雷雨にも負けず、雪にも、夏の暑さにも負けないアルマ望遠鏡のアンテナたち。その勇姿とともに真夏のアタカマ砂漠の景色をのぞいてみませんか。


アルマ望遠鏡ライブカメラ
https://alma-telescope.jp/liveview


雪化粧のアルマ望遠鏡(合同アルマ観測所JAOホームページより)
https://www.almaobservatory.org/en/images/snowy-aos-antennas/


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