アルマ望遠鏡の新データ伝送システム、基本設計審査を通過
アルマ望遠鏡の新しいデータ伝送システムに関する基本設計審査が実施され、無事に審査を通過し、次の詳細設計フェーズへ進むこ…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2020年1月11日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎宇宙初期に予想外の巨大炭素ガス雲を発見
東京大学宇宙線研究所の藤本征史氏(現在はコペンハーゲン大学のドーン・フェロー)を中心とする国際研究チームは、アルマ望遠鏡を使った観測によって、宇宙誕生後およそ10億年の時代にある銀河の周囲に半径約3万光年におよぶ巨大な炭素ガス雲があることを世界で初めて発見しました。炭素は、宇宙が誕生した時には存在していません。今回の研究により、星の内部の核融合反応で作られた炭素が宇宙初期の銀河周辺にばらまかれ、巨大な炭素ガス雲を形成したことが明らかになりました。
https://alma-telescope.jp/news/press/carbon-201912
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Topics
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◎若い惑星系に大量の原子ガスを発見 -惑星形成の仕組みに再考を迫る-
国立天文台の樋口あや特任研究員らのグループは、アルマ望遠鏡を用いて「くじら座49番星」を観測しました。この星はおよそ4000万歳と推定され、惑星形成の最終段階にあると考えられます。この観測により、デブリ円盤内の炭素原子の分布が初めて明らかになりました。また、理論モデルよりもずっと多くの原子ガスが残っていることもわかりました。この結果は、これまで考えられていた惑星形成過程に再考を迫る重要な成果といえます。
https://alma-telescope.jp/news/press/49ceti-201912
◎アルマ望遠鏡、重力レンズ効果を受けない最遠の星形成銀河を発見
アルマ望遠鏡を用いた研究チームは、ビッグバンからわずか9億7000万年後に存在した巨大銀河の光をとらえました。この銀河は「MAMBO-9」と呼ばれ、重力レンズの助けなしに観測された天体としては最遠にある星形成銀河です。これほど巨大な銀河は宇宙の初期段階には形成されないものと予測されてきました。今回の観測から、大量の塵を含んだ星形成銀河が宇宙の進化に重要な役割を果たしていると考えられます。
https://alma-telescope.jp/news/mambo9-201912
◎国立天文台と情報通信研究機構、包括的な連携協定を締結
国立天文台と情報通信研究機構は、包括的な連携協定を締結し、2019年12月3日に協定調印式を執り行いました。今後は、国立天文台と情報通信研究機構がお互いの強みを活かしながら連携し、次世代の技術開発を進めていきます。同時に、人類共有の財産である電波周波数資源についても議論を行い、電波天文学と便利な情報通信社会の共存共栄を実現していく建設的な関係を築くことを目指します。
https://alma-telescope.jp/news/naoj-nict-201912
◎ALMA/45m/ASTEユーザーズミーティング2019 開催
2019年12月18日・19日の2日間、国立天文台三鷹キャンパスにて「ALMA / 45m / ASTEユーザーズミーティング2019」が開催されました。アルマ望遠鏡、野辺山45m望遠鏡、アステ望遠鏡のユーザーが国内外から合計109名参加しました。ユーザーである研究者と望遠鏡の運用を行う国立天文台のスタッフが一堂に会し、望遠鏡の現状や過去1年間の代表的な研究成果、さらに今後の運用予定などを共有・議論しました。
https://alma-telescope.jp/news/um-202001
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Events
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◎国立天文台講演会 / 第24回アルマ望遠鏡講演会
日時:2020年2月2日(日)13:00~16:20
会場:東京国際交流館プラザ平成 国際交流会議場(東京都江東区)
講演:アルマ望遠鏡で迫る銀河の誕生と進化
講師:中西 康一郎 氏(国立天文台アルマプロジェクト 特任准教授)
濤崎 智佳 氏(上越教育大学 教授)
井上 昭雄 氏(早稲田大学 教授)
参加費:無料
定員:400名(事前申込制/申込み多数の場合、抽選)
申込期間:2020年1月7日(火)~1月15日(水)正午
詳細:https://www.nao.ac.jp/news/events/2019/20191212-alma-lecture.html
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Afterword
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今回のPick up! では「宇宙初期に巨大炭素ガス雲を発見!」という話題をお届けしました。この研究では、アルマ望遠鏡データアーカイブ(※)で公開されている過去のデータが活用されました。膨大なデータ処理の結果、従来の約5倍に達する高感度データを取得できたのです。
アルマ望遠鏡がこれまでに観測したデータは、観測提案者の占有期間(1年)を経て、データアーカイブ上で一般公開されています。2011年の初観測以降、データアーカイブには観測データが蓄積され続けていて、その科学的な利用価値が高まっています。国立天文台では、大学院生や研究者向けに、アルマ望遠鏡データの取り扱いを学ぶための「ALMAデータ解析講習会」を開催しています。
アルマ望遠鏡データアーカイブは、人類未踏の宇宙の姿が隠された情報の宝庫です。
今後どのような研究手法・研究成果が生まれるのか、楽しみです。
※アルマ望遠鏡データアーカイブ https://almascience.nao.ac.jp/
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