アルマ望遠鏡の新データ伝送システム、基本設計審査を通過
アルマ望遠鏡の新しいデータ伝送システムに関する基本設計審査が実施され、無事に審査を通過し、次の詳細設計フェーズへ進むこ…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2020年4月9日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎アルマ望遠鏡でブラックホールジェットと星間ガスの衝突を観測
~銀河の巨大ガス流出のメカニズム解明へ新たな一歩~
近畿大学の井上開輝教授らのチームは、アルマ望遠鏡による観測で、地球から110億光年離れた銀河の中心にある超巨大ブラックホールから噴き出す超高速のガス流(ジェット)によって、銀河内の星間ガス雲が激しく揺さぶられる様子を高解像度で撮影することに成功しました。銀河の進化の初期段階においても、ジェットが銀河内のガスに大きな影響を与えていることが示されたことは、銀河の進化の過程を解明するための重要な一歩といえます。
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Topics
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◎クエーサー「3C 279」の中心で輝くジェットをEHTが高解像度で観測
世界の8つの電波望遠鏡をつなぎ合わせて地球サイズの仮想電波望遠鏡を作り上げる「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」プロジェクトが世界で初めてM87銀河の中心にあるブラックホールの画像を発表してから、まもなく1年になります。EHTは、この他に超巨大ブラックホールから噴き出す超高速ジェットも観測していました。地球から約50億光年の距離にある3C 279から噴き出すジェットを超高解像度で観測し、ジェットの根元の最も高精細な画像が得られました。ジェットがどのようにして噴き出すのかを理解する、重要な手がかりになります。
◎連星系で作られる惑星の軌道の謎に迫る
アルマ望遠鏡を用いた観測によって、連星系を取り巻く原始惑星系円盤の新たな性質が明らかになりました。軌道の小さな連星系では、連星系の軌道面と原始惑星系円盤の軌道面が一致していましたが、間隔の離れた連星系では、連星系の軌道面に対して原始惑星系円盤が大きく傾いていたのです。この発見は、重力が複雑にはたらく連星系のまわりでの惑星形成に、新たな光を当てるものと言えます。
◎新型コロナウイルスに関連したアルマ望遠鏡の対応について
チリ国内での新型コロナウイルス感染症の拡大に際して、合同アルマ観測所長は、アルマ望遠鏡の科学運用を一時的に停止させることを決定しました。これは、感染拡大を防止するための予防的な措置です。現在も、アルマ望遠鏡の科学運用は停止しています。感染流行の状況は流動的であることから、合同アルマ観測所では引き続き状況を注視していきます。ご理解とご協力をお願いいたします。
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TV
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◎コズミックフロント☆NEXT「スター誕生 宇宙に輝く奇跡の瞬間」
再放送 4月10日(金)午後3時00分~3時59分(BS-4K)
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Afterword
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日本から南米チリのアタカマ砂漠へ向かうには、飛行機と車を乗り継いで約36時間かかります。「世界で最も乾燥した砂漠」と言われるこの地で、アルマ望遠鏡の建設が始まったのは2003年。それから最後のアンテナが到着した2014年まで、10年以上にわたる建設記録をYouTubeで公開しています。「まだ誰も見たことのない宇宙が見られる最高の望遠鏡をつくりたい」という情熱を胸に、壮大な夢を実現させた開拓者たちの記録です。標高5000メートルという過酷な環境を乗り越え、まだ見ぬ可能性に挑み続けた彼らの旅路をご紹介します。
◎ALMA建設記録映像集
01 起工式 /2003年11月撮影(13分)
02 南十字星の下で /2004年7月撮影(19分)
03 試作アンテナの評価試験 /2005年11月撮影(19分)
04 海部宣男 ALMAを語る /2006年3月撮影(18分)
05 Brief History of ALMA/2007年5月撮影(5分)
06 ALMA 建設記録 2007 /2007年撮影(27分)
07 ALMA 建設記録 2008 /2008年撮影(17分)
08 ALMA 建設記録 2009 /2009年撮影(19分)
09 ALMA 建設記録 2011 /2011年撮影(18分)
10 アルマ望遠鏡開所記念式典 /2013年3月撮影(15分)
11 最後のアンテナの山頂移設 /2014年6月撮影(11分)
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