2006. 1. 30

2006年新春号 試作アンテナ撤収、山頂・山麓の工事状況等

国立天文台のALMA(アルマ)計画に関心をお持ちの皆さま
だいぶ遅くなってしまいましたが、新春号をお届けします。本年もどうぞ
よろしくお願いいたします。
 さて、早速ですが、国立天文台が進めているALMA計画の近況報告と、こ
れから行われる一般向け講演会等についての案内をお送りします。
※最新情報についてはALMAのホームページ
 http://www.nro.nao.ac.jp/alma/ をご覧下さい。
【近況報告】
 チリでは4年に一度の大統領選挙が終了し、1月15日に行われた決選投票
ののち、バチェレ氏が勝利し、南米初となる女性大統領が誕生しました。
ALMAサイトから目と鼻の先にある隣国のボリビアでは1月18日に先住民初
の大統領が誕生するなど、南米はいろいろな話題で盛り上がっています。
1月に入ってからサンチャゴではまだ雨が降っておらず、いつもにも増し
て暑い夏となっています。
 現地ではインフラ工事が急ピッチで進められています。山頂では日本が
担当するACA(アタカマコンパクトアレイ)システムの設置場所の地質調査
が無事終了し、当初予定通りの場所に設置できる見込みとなりました。山
頂施設のちょうど真正面にACAのアンテナ群が並ぶことになります。一方
山頂建物の工事も順調に進められており、すでにACA相関器室の床のコン
クリートの打設も終了しています。標高2900mにある山麓施設のアンテナ
組み上げ場所の整備もまもなく始まる予定です。
 また、アンテナの評価試験が行われていたアメリカ・ニューメキシコ州
のアメリカ国立電波天文台のVLA(Very Large Array)観測所の敷地内では、
試験を終えたアンテナの解体作業がほぼ完了しました。この作業の模様は
まもなく完成予定のALMA建設記録映画パート3の中にも収められています。
 三鷹では米欧が提供するアンテナを含む全てのアンテナに搭載するため
のミリ波・サブミリ波の3バンド(バンド4、8、10)の受信機の開発のほか、
米欧が分担する受信機をACAシステムに搭載するための検討も進められて
います。バンド4(150GHz帯)とバンド8(500GHz帯)では評価モデルの評価が
終了し、量産機の設計に取りかかっています。また、ソフトウェアは米欧
と完全に融合して開発されており、アメリカ、イギリス、フランスなどの
機関への長期出張者が米欧のチームの中で開発を支えています。
 こういったもの作りの一方で、望遠鏡建設の本来の目的である天文学研
究の戦略的な検討も本格化しました。大学研究者を中心に、電波天文学だ
けでなく理論天文学や光学赤外線天文学など幅広い分野の研究者が集い、
ALMAの個別の重点研究分野について、具体的な検討を進めています。また、
台湾との協力についても密な検討が進んでいます。
 そのほか、写真ニュースにもいろいろ載せてありますのでどうぞご覧く
ださい。
【一般向け講演会・施設公開・展示等】
◎科学ライブショー・ユニバース「南米からの星だより:ALMA計画」
 日時:2006年 2月 4日(土) 14:30-15:10、15:30-16:10
 場所:科学技術館
◎第8回ALMA公開講演会「(テーマ未定)」
 日時:2006年5月下旬
 場所:福岡県青少年科学館(予定)

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