2005. 12. 11

号外 ALMA山麓施設の星座カメラ稼動開始

国立天文台のALMA(アルマ)計画に関心をお持ちの皆さま
 国立天文台が進めているALMA計画の近況報告と、これから行われる一般向
け講演会等についての案内をお送りします。
※最新情報についてはALMAのホームページ
 http://www.nro.nao.ac.jp/alma/をご覧下さい。従来使われてきた
 http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/はhttp://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/
 にこれから順次移行しますので、ブックマークの変更をお願いします。
【近況報告】
 すでにALMAニュース2005年夏号で予告しましたが、熊本大学の佐藤毅彦氏
を中心とするグループが開発した星座カメラi-CANの一つがALMAの山麓施設
(標高約2900m)に設置され、このたび調整を終えて本格運用の運びとなりま
したのでお知らせします。
 星座カメラi-CANはいわゆる「望遠鏡」というよりは「高感度ウェブカメ
ラ」です(インターネット経由で上下左右に遠隔操作できる)。対角線方向に
70度の画角を持ち、肉眼で星座を観察するのに近い感覚を実現しています。
多くの星座は一つ以上をまるごとすっぽり収めることができ、星座どうしの
位置関係などもよく分かります。これを学校の授業などに取り入れれば、日
本とALMA山麓施設(西経68度)との経度の違い(東経135度の明石との経度差
203度は約13時間半の遅れに相当)を利用して昼間の授業中の星座観察が可能
となります。また、日本では光害や天候不順のために普段目にする機会が乏
しい美しい星空や、日本で見ることのできない南天の天体を自由に見せるこ
ともできます。南回帰線のほぼ真下の南緯約23度にあるALMAの山麓施設では、
南十字星や大小マゼラン雲など日本ではなじみの薄い南天の天体を見ること
ができますし、天の川(銀河系)の中心も、頭の上までのぼってきます。現在
チリは夏ですが、オリオン座など日本では冬の星座とされている星座が見え
ます(オリオン座など全て上下が逆さまに見えますが)。また、年間降水量は
わずか数十mmしかないため、曇って星が見えないということもめったにあり
ません。現地の9日未明(日本の同日午後)に行われたファーストライトでも、
逆さまのオリオン座や南十字星がよく見えていました。
 科学研究費補助金により開発された四つ子の星座カメラは、すでに運用を
始めていた長女のヤーキス天文台(アメリカ・ウィスコンシン州)と今回運用
を開始した次女のALMA山麓施設に加え、今年度中に南阿蘇ルナ天文台(熊本
県)とローズマリー天文台(アメリカ・フロリダ州)にも相次いで嫁入り予定
です。さまざまな助成金に支えられ開発・運用していますので、利用は無料
です。i-CANの操作は、誰も使っていなければ(世界中の誰でも!)ゲストとし
てすぐに始めることができます。しかも映像の閲覧自体はいつでも誰でも可
能です。学校の教室や課外活動など教育現場での利用(それを主に期待して
作られました)の場合は、事前予約を入れることで確実に利用時間を確保す
ることができます。英語のホームページも整備される予定で、外国の人たち
が現地の日中に熊本の星空を観察することも想定しています。ALMAのホーム
ページからもリンクしますので、どうぞALMA建設場所の夜空をお楽しみくだ
さい。
【一般向け講演会・施設公開・展示等】
◎天文学普及講演会「アンデスの巨大電波望遠鏡ALMAでさぐる銀河と惑星系
 の誕生」
 日時:2005年12月17日(土) 14:00-16:00
 場所:国立科学博物館 新館3F講義室
◎第54回SISTサロン「電波で探る未知の宇宙-ALMAプロジェクトの紹介-」
 日時:2006年 1月27日(金) 18:00-20:15
 場所:静岡理工科大学 管理棟2階208号室
◎科学ライブショー・ユニバース「南米からの星だより:ALMA計画」
 日時:2006年 2月 4日(土) 14:30-15:10、15:30-16:10
 場所:科学技術館
 備考:ヤーキス天文台の星座カメラの設置に中心的な役割を果たした木村
    かおる氏が案内役を務め、ALMA推進室のスタッフとの掛け合いや、
    ALMA山麓施設とヤーキス天文台の2つの星座カメラを使ったプログ
    ラムなどを予定しています。
◎第8回ALMA公開講演会「(テーマ未定)」
 日時:2006年
 場所:福岡エリア:詳細未定

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