2015. 12. 27

【ALMAメールマガジン】 115億光年彼方のモンスター銀河をアルマが観測

Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA)
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2015年12月27日号
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今夜は「月齢16」、アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎ 115億光年彼方の原始グレートウォールの内部に
 巨大銀河誕生の現場を発見
東京大学大学院理学系研究科の梅畑豪紀日本学術振興会
特別研究員、田村陽一助教、河野孝太郎教授を中心とする
国際研究チームは、アルマ望遠鏡による観測から、115億光
年彼方に位置する若い銀河の大集団、いわば宇宙最大の天
体である「原始グレートウォール」の中心に、爆発的な星形成
活動を行っている銀河(モンスター銀河)が9個も群れ集まって
いる様子を捉えることに成功しました。
一つ一つのモンスター銀河は我々の住む天の川銀河の数百
倍から1000倍もの凄まじい勢いで星を形成しており、やがて
巨大銀河へと進化すると考えられています。この結果は、原始
グレートウォールが巨大銀河の誕生を支える母体であることを
指し示すものであり、モンスター銀河の形成過程やその後の
進化の解明につながると期待されます。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2015/1205115.html
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topics
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◎電波の影絵で希薄な星間分子ガスを”見る”
東京大学大学院理学系研究科の安藤亮大学院生(修士課程
1年)、河野孝太郎教授、国立天文台の永井洋特任准教授ら
の研究グループは、アルマ望遠鏡での観測時において目標
天体の”位置合わせ”に用いられる基準光源のデータを調査
することで、新たな分子吸収線系の発見を試みました。
その結果、3つの新たな分子吸収線系の発見に成功し、
計4天体の方向で多様な分子の吸収線を検出しました。
さらに2天体の方向では、非常に珍しいホルミルラジカル(HCO)
を検出し、従来知られていた中で最も希薄な星間ガスを捉えた
とともに、その希薄なガスが大質量星などからの紫外線に
さらされた環境にあることを明らかにしました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2015/1207post_626.html
◎アルマ望遠鏡運用に関する三者協定書に署名
2015年12月15日、日本の自然科学研究機構(NINS)、欧州
南天天文台(ESO)、米国国立科学財団(NSF)は、アルマ望遠鏡
の運用に関する三者協定書に東京で署名を行いました。
この協定により、三者によるアルマ望遠鏡の国際協力運用を
今後20年にわたって継続する枠組みが確定しました。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2015/1218post_628.html
◎新しい映像「受信機開発 受信機の製造編」を公開
アルマ望遠鏡開発についての新しい映像を公開しました。
パラボラアンテナの内部で天体からの電波を受信する
受信機の開発です。様々な部品を用いて高さ50cmほどの
受信機カートリッジまで組み上げる過程を描いています。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2015/1225post_629.html
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event
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◎12月12日(土)~2016年 4月 4日(月)まで
プラネタリウム 「ALMA~まだ見ぬ宇宙へ~」
会場:はまぎんこども宇宙科学館(神奈川県横浜市)
[詳細] はまぎんこども宇宙科学館
http://www.yokohama-kagakukan.jp/planetarium/
◎上映中~2016年 3月13日(日)まで
プラネタリウム 「ALMA~まだ見ぬ宇宙へ~」
会場:ディスカバリーパーク焼津(静岡県焼津市)
[詳細] ディスカバリーパーク焼津
http://www.discoverypark.jp/event/detail/?dat_id=50
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afterword
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年の瀬が迫り、今年最後のアルマ望遠鏡メールマガジンとなり
ました。皆様にとって2015年はどのような年であったでしょうか。
アルマ望遠鏡にとっては科学観測が順調に進み、数々の成果
が生まれた年になりました。特に、アンテナの間隔を長くとって
観測する長基線試験観測キャンペーンによる観測画像が発表
されました。高い解像度を生かして遠くの銀河の詳細な姿を
とらえたほか、ブラックホールについての成果が多くありました。
また、現地ではチリ山麓施設の一般見学が始まりました。
これまでのご要望にお応えし、毎週土日に開催しています。
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/aboutalma/visit/
そして、今回お伝えした三者協定署名式の実施も大きな出来
事でした。日・米・欧の三者が協力して、今後20年間安定して
アルマ望遠鏡を運用していくための枠組みを確定しました。
国際協力の場では互いに異なる文化・習慣を持つ者同士が
同意を得るのは難しい場面もあります。しかし、宇宙の謎に
挑むという共通の目的があるからこそ、互いに認め合い、
よきパートナーとして絆を築くことができました。今回の協定書
への署名は国際協力が形になったひとつの証です。
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