2012. 7. 5

【ALMA Mail Magazine】 2012年7月5日号 ~124億光年彼方の銀河の正体~

====================================================================
▲▲▲ ALMA Mail Magazine 2012年7月5日号
Atacama Large Millimeter/submillimeter Array < http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/> ====================================================================
――― 国立天文台のALMA(アルマ)計画に関心をお持ちの皆さま ―――
毎月月齢16の夜にお届けしているアルマ望遠鏡メールマガジン。
国立天文台が進めているアルマ計画の近況をお届けいたします。
最新情報はアルマ望遠鏡のウェブサイト http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
ならびにアルマ望遠鏡Twitterアカウント http://twitter.com/ALMA_Japan
をご覧ください。
INDEX
最新情報 / アルマ通信
 6月 5日 アルマ望遠鏡のアップグレード:バンド5受信機量産へ
 6月 6日 映像「史上最高のアンテナを作る ~ALMAアンテナ主鏡部~」を公開
 6月 8日 バンド4、バンド8受信機 量産審査会
 6月11日 アルマ望遠鏡が見た、太陽面通過直前の金星
 6月18日 アルマ・タウンミーティング・イン・三鷹
 6月22日 森田耕一郎教授の追悼式典
PICK UP!
 6月12日 プレスリリース:124億光年彼方の銀河の「成分調査」
       ~アルマ望遠鏡で迫る進化途上の銀河の正体~
====================================================================
 ■ 最新情報 / アルマ通信 ■
====================================================================
◎ 6月 5日 アルマ望遠鏡のアップグレード:バンド5受信機量産へ
すでに量産が行われている7種類の受信機に加えて、今回バンド5受信機の
量産が決定されました。バンド5受信機により、これまで観測されていなかっ
た周波数帯の電波による銀河の誕生や惑星系に存在する水の研究などが可能
になります。
[最新情報] アルマ望遠鏡のアップグレード:バンド5受信機量産へ
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2012/06055_1.html
◎ 6月 6日 映像「史上最高のアンテナを作る ~ALMAアンテナ主鏡部~」を公開
アルマ望遠鏡を構成する日本製アンテナがどのように作られているのかご紹
介する映像を公開しました。宇宙からやってくる電波を集める主鏡部分を作
る各工程を、映像とインタビューでご紹介しています。映像はYouTubeでも
ご覧いただけます。
[アルマ通信] 映像「史上最高のアンテナを作る ~ALMAアンテナ主鏡部~」を公開
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2012/06062012_1.html
◎ 6月 8日 バンド4、バンド10受信機 量産審査会
バンド4、バンド10受信機の量産審査会が行われました。2種類の受信機は、
量産を行う上で必要な試験や組立設備が十分整っており、品質管理体制に問
題がないことが確かめられました。
[最新情報] バンド4、バンド10受信機 量産審査会
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2012/0608410.html
◎ 6月11日 アルマ望遠鏡が見た、太陽面通過直前の金星
2012年6月6日、金星が太陽の前を横切る「金星の太陽面通過」がありま
した。チリではちょうど夜の時間帯に相当していたためにこの現象を観察
することはできませんでしたが、アルマ望遠鏡を構成するパラボラアンテ
ナのうち日本製の直径12mアンテナ1台を使って、太陽の前にさしかかる
直前の金星の姿をとらえることに成功しました。画像はウェブサイトで
ご覧ください。
[アルマ通信] アルマ望遠鏡が見た、太陽面通過直前の金星
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2012/0611post_434.html
◎ 6月18日 アルマ・タウンミーティング・イン・三鷹
国立天文台三鷹キャンパスで、アルマ・タウンミーティングが開かれまし
た。これは、アルマ望遠鏡の観測提案についての説明会および相談会です。
アルマでは次の観測期間に向けた公募が5月31日から始まっており、専門
のソフトウェアを使った実践的な観測提案作成の解説が行われました。
[アルマ通信] アルマ・タウンミーティング・イン・三鷹
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2012/0618post_435.html
◎6月22日森田耕一郎教授の追悼式典
チリ・サンティアゴで5月7日に亡くなった森田耕一郎教授の追悼式典が、
国立天文台三鷹キャンパスで行われました。台内外から森田教授に縁の深
い方々が集まりました。
[アルマ通信] 森田耕一郎教授の追悼式典
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2012/0622post_436.html
====================================================================
 ■ PICK UP! ■
====================================================================
◎プレスリリース:124億光年彼方の銀河の「成分調査」
         ~アルマ望遠鏡で迫る進化途上の銀河の正体~
京都大学の長尾透准教授を中心とする国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用
いて124億光年彼方の「サブミリ波銀河」と呼ばれる種類の銀河を観測し、
この銀河に含まれる窒素が放射する電波を検出することに成功しました。
サブミリ波銀河とは、進化途上にあり激しい星形成活動を起こしている種類
の銀河で、可視光を遮る大量の塵に覆われているためにすばる望遠鏡などの
光学望遠鏡では詳細な観測が困難でした。アルマ望遠鏡は、大量の塵にも遮
られることのないミリ波での観測が可能であり、かつ微かな電波をもキャッ
チできる驚異的な感度を持っています。このアルマ望遠鏡の特徴を活かして
検出した電波の性質をモデル計算と比較することで、宇宙誕生後わずか13億
年しかたっていない初期宇宙にあるこの銀河での元素組成が、すでに現在の
宇宙の元素組成に近いことが明らかになりました。
この結果は、初期宇宙において、激しい星形成活動が起こったことを物語っ
ています。我が国の研究者が代表を務める研究としてはアルマ望遠鏡の共同
利用観測に基づく最初の成果であり、これまでにアルマ望遠鏡が見た天体の
中で最も遠方の天体に関する観測成果です。
[プレスリリース] 124億光年彼方の銀河の「成分調査」
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201206126704.html
■詳しくは、アルマ望遠鏡ウェブサイトをご覧ください。
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/ (日本語)
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/e/ (英語)
■アルマ・メールマガジン バックナンバー
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/mailmagazine/
====================================================================
 ■ あとがき ■
====================================================================
アルマ望遠鏡を使った、日本人研究者による初めての研究成果が発表されま
した。本研究の代表者である長尾氏は「アルマ望遠鏡の実力がいかに圧倒的
かを思い知らされた気持ちになりましたよ。」と語り、共同研究者の廿日出氏
は、「アルマ望遠鏡の感度の良さには大変驚きました。」と率直な感想を述べ
ています。
感度とは、かすかな電波でもとらえることのできる能力のことをいいます。
アルマ望遠鏡は優れた感度を持つため、はるか遠くの銀河から発せられたか
すかな電波をとらえることができます。遠くを見ることは過去を見ること。
宇宙の始まりではどんな銀河が生まれ、どのように成長してきたのでしょう
か。銀河の進化の謎はアルマ望遠鏡が挑む重要なテーマのひとつです。
もうすぐ7月7日は七夕ですね。全国でほとんどの地域が梅雨の真っ只中で
すが、雲に阻まれて輝く星が見えない時でも、その先に広がる宇宙に思いを
馳せてみてください。
■ご意見、ご感想はお問い合わせフォームからお寄せください。
 お問い合わせフォーム:http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/inquiry/
──────────────────────────────────
国立天文台 チリ観測所 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/
Copyright(C) 2012 Atacama Large Millimeter/submillimeter Array(ALMA), NAOJ.
All rights reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

NEW ARTICLES