アルマ望遠鏡関連2グループが国立天文台長賞を受賞

国立天文台に対して特に顕著な功績があると認められる者を表彰する平成30年度国立天文台長賞が、アルマ望遠鏡に貢献した2グループに贈られ、7月30日に表彰式が行われました。

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台長賞を受賞した小川英夫 大阪府立大学客員教授(右)と、合同アルマ観測所国際職員を代表して表彰状を受け取った澤田剛士 国立天文台助教(左)。中央は常田佐久 国立天文台長。
Credit: 国立天文台


受賞者:小川英夫 大阪府立大学客員教授
受賞業績:ミリ波・サブミリ波受信機の開発による国立天文台への貢献

受賞理由となったのは、電波望遠鏡のアンテナで集められた電波を検出して電気信号に変換する受信機の開発です。宇宙からやってくる電波は大変微弱なため、超伝導技術を活用した受信機が多くの電波望遠鏡に搭載されています。一方でこうした受信機は市販されていないため、企業とも連携しながら研究機関や大学が自ら開発してきました。小川氏は、アルマ望遠鏡をはじめとする国立天文台の多くの電波望遠鏡に搭載された受信機の開発に、主導的な貢献をされました。また、現在国立天文台の電波天文分野の中核となる多くの研究者及び技術者を指導されました。これらの小川氏の貢献が、国立天文台および日本の天文学の発展に大きく寄与したことが高く評価され、今回の受賞となりました。

参考:2013年6月27日掲載記事「日本が開発したアルマ望遠鏡バンド4受信機による初めての天体電波画像の撮影に成功」

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国立天文台長賞の賞状と記念品を受け取った小川英夫 大阪府立大学客員教授(左)。右は常田佐久 国立天文台長。
Credit: 国立天文台


受賞者:澤田剛士 助教、高橋智子 助教、廣田晶彦 助教、奥田武志 准教授、水野範和 教授
授賞業績:合同アルマ観測所国際職員としてのアルマ運用への貢献

国際協力で進められるアルマ望遠鏡の現地運用を担うため、「合同アルマ観測所(Joint ALMA Observatory: JAO)」がチリに設立されています。JAOには各国から集った天文学者のほか、技術者や事務職員など多様な職員が働いています。今回台長賞を受賞した澤田助教、高橋助教、廣田助教はJAOに勤務する国立天文台の天文学者であり、アルマ望遠鏡の科学評価・システム評価活動(試験観測などを通じてアルマ望遠鏡の性能を高め、所期の目標が達成されていることを検証・評価する活動)を牽引しました。また、水野教授はJAOの技術部長として、奥田准教授はJAO技術部門の国際職員として、アルマ望遠鏡の日々の運用を実現するための重要な役割を担ってきました。受賞者5名はいずれもアルマ望遠鏡の安定運用の確立において顕著な貢献を果たし、最前線での活動を通じて国立天文台および日本の研究者の国際的なプレゼンスの向上に寄与したことが高く評価され、今回の受賞となりました。

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常田佐久 国立天文台長から台長賞の賞状と記念品を受け取る澤田剛士助教。
Credit: 国立天文台

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