2012年6月6日、金星が太陽の前を横切る「金星の太陽面通過」がありました。
チリではちょうど夜の時間帯に相当していたためにこの現象を観察することはできませんでしたが、アルマ望遠鏡を構成するパラボラアンテナのうち日本製の直径12mアンテナ1台を使って、太陽の前にさしかかる直前の金星の姿をとらえることに成功しました。画像中央の円が太陽で、その左上の小さな点が金星です。
このとき金星は夜の側を地球に向けているため可視光で見ることはできませんが、暖かい金星が放つ電波(今回観測した電波の周波数は230GHz)をパラボラアンテナでキャッチすることで、金星の「後ろ姿」を撮影することができたのです。ただし金星に比べて太陽が放つ電波は圧倒的に強いため、金星と太陽は別々に画像を処理し合成しています。
また太陽表面の活動領域が、電波の強い部分(画像では白っぽく写っている部分)として写し出されています。太陽と金星はこの観測(チリ時間6月5日午後5時14分)からおよそ30分後に地平線の下に沈み、さらに1時間後に金星の太陽面通過が始まりました。
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)