日本でも3月10日前後から観測できるようになると期待されているパンスターズ彗星の姿を、チリのアルマ山麓施設で捉えました。パンスターズ彗星は2011年6月にハワイのパンスターズ1望遠鏡で発見された新彗星です。
撮影は標高2900mのアルマ山麓施設にて、2月27日21時(チリ時間)に300mmの望遠レンズとデジタル一眼レフカメラを用いて行われました。この時、彗星はちょうこくしつ座の位置にありました。彗星の特徴である尾がきれいに写し出されています。(撮影:澤田剛士)
日本でパンスターズ彗星が観測しやすくなるのは、3月10日の近日点通過以降と考えられます。この頃から、日の入り後の西の空に見られるようになります。3月下旬から4月上旬は、日の入り後の西の空と日の出前の東の空に1日に2回見ることができるようになります。ただし、いずれも太陽から見かけ上あまり大きく離れることがないため、きわめて低空でしか見ることができず、観測条件はよいとは言えません。
日本天文協議会では、3月1日から4月30日まで「パンスターズ彗星を見つけようキャンペーン」を行っています。パンスターズ彗星を見つけた場所を報告するページも開設されますので、皆さんもご参加ください。
パンスターズ彗星について詳しくは、国立天文台:パンスターズ彗星をご覧ください。
アルマ望遠鏡でも、このパンスターズ彗星を観測する提案が採択されています。彗星は氷と岩石が混じったものですが、その中には太陽系ができたころからあまり組成が変わっていないものもあると考えられています。また彗星から放出された塵の中からアミノ酸が発見されたこともあり、太陽系がどのようにしてできたか、どのように進化してきたかを研究する上でもたいへん興味深い天体です。