アステ望遠鏡・アルマ望遠鏡開発ワークショップ開催

6月17・18日の2日間、国立天文台三鷹キャンパスでアステ望遠鏡・アルマ望遠鏡開発ワークショップ2014(ASTE/ALMA Development Workshop 2014)が開催され、6か国・地域から62人の研究者が集まってアステ望遠鏡・アルマ望遠鏡の将来開発計画について議論を行いました。

アステ望遠鏡(ASTE:アタカマサブミリ波望遠鏡実験)は、アルマ望遠鏡建設地の隣、標高4860m地点に国立天文台が設置した直径10mのサブミリ波望遠鏡です。2003年に観測を開始したアステ望遠鏡は南半球初の本格的サブミリ波望遠鏡であり、アルマ望遠鏡の『水先案内人』として様々な実験開発および観測成果を挙げてきました。今回のワークショップでは、アルマ望遠鏡の本格観測開始を受けて、今後アステ望遠鏡にどのような観測装置を搭載するか、そしてアルマ望遠鏡の将来開発計画とどのように相乗効果をとるのか、が主要なテーマでした。

参加者からは、アルマ望遠鏡で最も周波数が高い電波を受信するバンド10受信機よりもさらに高い周波数の観測を可能にするテラヘルツ受信機、広視野観測を実現する電波カメラと多重ビーム受信機、遠方銀河までの距離(赤方偏移)を効率よく決定することを目指した3次元分光器、そして高精度観測を実現するソフトウェア相関器の開発計画などが紹介されました。これらの開発は、アルマ望遠鏡の広視野化につながる基礎開発にも位置付けられるものです。また星の誕生や天の川銀河、マゼラン銀河、遠方宇宙などを研究テーマにする研究者から、その分野の研究を一層進めるために必要な観測装置についてのアイディアが披露されました。

アステ望遠鏡はその正式名称の通り『実験』の側面も持っており、アルマ望遠鏡を高性能化するための装置開発の実地試験をアステ望遠鏡で行うこともできます。今回のワークショップでの議論をもとに、より具体的な新観測装置の開発が進んでいくことになります。

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