アルマ望遠鏡アンテナのフォーメーションダンス

2009年9月のアンテナ1号機(日本製)のアルマ望遠鏡山頂施設(標高5000m)到着を皮切りに、2014年までに全アンテナが山頂施設に運ばれ、そして山頂施設の中で幾度となく配置換えをしてきました。今回はその履歴を、フランス国立情報学自動制御研究所INRIAとの協力により、1分間の動画にまとめました。どんどんアンテナ数が増えていく様子や、山頂施設内で大きく広がったり小さくまとまったりするようすがよくわかります。

映像:2009年9月17日から2014年12月7日までの、アルマ望遠鏡アンテナ輸送の履歴を映像化したものです。左端のOSF(山麓施設)から次々に山頂施設にアンテナが運び込まれ、山頂施設内でも配置がどんどん変更されている様子がわかります。見やすいように、山頂施設中央部が拡大されています。

アルマ望遠鏡のアンテナは、頻繁に配置換えをされています。アンテナを大きく広げれば解像度が上がりますが見える範囲(実効的な視野)が狭くなります。アンテナを狭い範囲にまとめると、解像度は下がりますが大きな天体も観測することが可能です。つまりアンテナの配置を変えることで、ズームレンズのような働きをすることができるのです。アルマ望遠鏡での観測を行う研究者は、その研究テーマに最適な解像度と視野の大きさを選択し、それに従って合同アルマ観測所がアンテナの配置を変更します。

アンテナは1台100トンもある精密機器であり、これを移動させることは簡単な作業ではありません。アルマ望遠鏡アンテナの運搬専用に設計製作された2台の運搬台車(トランスポーター)、OttoとLoreがアンテナ移動では活躍しています。28個の車輪を持ち、F1エンジン2個分のパワーを持っています。1度のアンテナ移動に際しては、熟練したスタッフが最低でも6人必要です。動画で示しているアンテナ移動の裏側には、運搬台車の運転手やアンテナの
エンジニア、安全管理担当者など多くのスタッフによる共同作業が隠れています。

画像:専用運搬台車に載せられた、日本製12mアンテナ。

下の画像は、アルマ望遠鏡のアンテナが最大15kmに展開されたときのアンテナ配置です。「視力2000」によるおうし座HL星の観測は、この時に行われました。

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