チリ共和国の議会上院は、イベント・ホライズン・テレスコープによって発表されたブラックホール初撮影の功績をたたえ、2019年4月17日の議会にアルマ観測所の代表者らを招きました。アルマ観測所への祝辞に加え、ブラックホール観測に深く関わったアルマチームの科学者アレハンドロ・セーズ氏、ヴィオレッテ・インペリツェリ氏、ヒューゴ・メシアス氏、ルーベン・ヘレロ・イラナ氏、廣田晶彦氏、さらにコンセプシオン大学のニール・ナガー氏、ヴェンカテッシュ・ラマクリシュナン氏らの功績が高く評価されました。
世界中に大きなインパクトを与えた今回のブラックホール初撮影を受け、チリ議会上院は、アルマ観測所とチリから参加した7名の科学者に対し、銀メダルの授与を決定。式典は上院会議場にて開催されました。
アルマ望遠鏡ディレクターのショーン・ドウアティ氏は「ブラックホール直接撮影という歴史的な挑戦において、アルマ望遠鏡は重要な役割を果たした。アルマチーム全員の並々ならぬ努力に感謝しています。」と述べました。
式典の後、上院議長のハイメ・キンタナ氏は、「優れた科学者の皆さんにメダルを贈ることができ、大変誇りに思います。研究チームは素晴らしい観測結果によって科学分野への大きな貢献を果たしました。科学と政治とのつながりを強化することは、我々が10年に渡って上院で掲げてきた方針であり、Congreso del Futuro(未来会議)の重要な課題でもあります。」と述べました。
この会合では、ショーン・ドウアティ氏に加え、今回の論文共著者の中で唯一チリ国籍を持つアレハンドロ・セーズ氏による講演などが行われ、今回の観測の重要性を議員らとともに共有しました。
合同アルマ観測所の一員として今回のプロジェクトに携わった廣田晶彦国立天文台チリ観測所助教は「アルマアンテナの出力を合成して、アルマを仮想的な一つの巨大アンテナとしてVLBI観測に参加させるALMA Phasing Projectにおいて、主に観測ソフトウェア開発を担当するという形で参加しました。数多くの研究者と技術者が一つの目標のもと、それぞれの専門性を持ち寄って得られた今回の結果に微力ながら貢献できたことを嬉しく思うとともに感謝します。」と語っています。