研究内容:
梅畑さんは、すばる望遠鏡やアルマ望遠鏡など、様々な波長を用いた観測を駆使して、115億年前の宇宙大規模構造の心臓部における銀河や大質量ブラックホールの形成・進化の解明を進めてきました。特に、アルマ望遠鏡を用いた(サブ)ミリ波で深宇宙の窓を拓く「アルマディープフィールド(アルマ深宇宙探査領域)」を世界に先駆けて開拓し、これまで見逃されてきた多くの活動的な銀河や大質量ブラックホールがこの宇宙大規模構造中心部に存在することを突き止めました。さらに、すばる望遠鏡やVLT望遠鏡によってこれらの銀河や大質量ブラックホールをつなぐ、水素ライマンα光で光る「宇宙網」を発見しました。これらの成果は100億年以上昔の宇宙において、宇宙網によるガス供給が大質量銀河や大質量ブラックホールの高い活動性の源となっていることを示唆するものです。
受賞コメント:
このような素晴らしい賞をいただくことができ、大変光栄に存じます。共同研究者の方をはじめ、本研究を進める中でお世話になった全ての方々にこの場をお借りして感謝を申し上げます。アルマ望遠鏡を用いた深宇宙探査を開始し、初めて手にした画像上にあまりにも多くの(これまで知られていなかった)銀河が浮かび上がってきた時の興奮は今も鮮明に思い出されます。今後もアルマ望遠鏡が次はどのような新しい世界を見せてくれるのか、楽しみにしながら研究活動に励んでまいりたいと思います。
アルマ望遠鏡とVLT望遠鏡によって得られた擬似カラー図。白色の点状に見えるものが、アルマ望遠鏡で捉えた塵に隠された星形成銀河。青色のフィラメント状のものが、VLTで捉えた水素ガスのネットワーク。アルマ望遠鏡で観測された塵に隠された星形成銀河をつなぐように青色で表示された水素ガスのネットワーク「宇宙網」が分布している。
Credit: ALMA(ESO/NAOJ/NRAO), ESO, Hideki Umehata et al.