2019. 2. 20

【ALMAメールマガジン】アルマ望遠鏡、急増光した若い星のまわりに多数の有機分子を発見

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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン

ALMA Mail Magazine 2019年2月20日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。

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pick up!
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◎アルマ望遠鏡、急増光した若い星のまわりに多数の有機分子を発見

韓国・キョンヒ大学の ジョンユァン・リー氏と東京大学の相川祐理氏をはじめ
とする研究チームは、アルマ望遠鏡を使って若い星オリオン座V883星を取り巻く
ガスと塵の円盤(原始惑星系円盤)を観測し、メタノールやアセトアルデヒド、
アセトンなど多数の有機分子を発見しました。この星は、若い星でときどき起きる
急増光の最中にあるため円盤内の温度が上がっていて、氷に閉じ込められていた
多くの有機分子がガスとして放出されたと考えられます。この研究は、惑星の誕生
現場である原始惑星系円盤に含まれる有機分子を探る重要な手がかりを与えて
くれます。

http://c.bme.jp/14/924/56/5462

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topics
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◎東アジア・アルマ ディベロップメントワークショップ/サイエンスワークショップ開催

東アジア地域の最先端技術を生かしてアルマ望遠鏡の性能向上を実現すること、
東アジア地域の研究者によるアルマ望遠鏡観測成果を持ち寄って相互交流と新しい
共同研究を創出することを目標に、技術開発と科学研究をテーマにしたワーク
ショップが2018年12月に大阪で開催されました。

http://c.bme.jp/14/924/57/5462

◎アルマ望遠鏡、巨大赤ちゃん星のまわりで塩を発見

アルマ望遠鏡が地球からおよそ1500光年離れた若い星を観測し、その星を取り巻く
ガスの円盤の中に塩(塩化ナトリウム)が含まれていることを発見しました。
年老いた星の大気中では検出されたことがありますが、若い星のまわりで塩が発見
されたのはこれが初めてのことです。今回の発見は、ガスと塵の雲の奥深くで生ま
れる星のまわりの化学反応を理解するうえで重要な成果といえます。

http://c.bme.jp/14/924/58/5462

◎ガス雲を振り回す野良ブラックホール
-天の川銀河中心近傍に潜む中間質量ブラックホールのより確かな証拠

国立天文台の竹川俊也特別研究員と慶應義塾大学の岡朋治教授らの研究チームは、
天の川銀河中心核「いて座A*」の近傍に発見された特異分子雲をアルマ望遠鏡を
用いて詳細に観測し、それが軌道回転運動(公転)している複数のガス流の複合
体であることを突き止めました。さらに軌道解析の結果、その回転中心には太陽
質量の約3万倍にもおよぶ「見えない質量」-中間質量ブラックホール-が潜んで
いると結論づけました。この成果は、天の川銀河中心を漂う中間質量ブラック
ホールのより強い存在証拠を得たとともに、これまで発見が困難であった暗い
「野良ブラックホール」を探し出す新手法を提示したものといえます。

http://c.bme.jp/14/924/59/5462

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event
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◎2019年3月3日(日)
第27回自然科学研究機構シンポジウム『生物の環境適応戦略』
会場:一橋講堂(東京都千代田区)
時間:12:50~16:55(開場 12:00)
定員:300名(事前申し込み制、先着順)

自然科学研究機構の一員として、国立天文台はアルマ望遠鏡ブースを出展します。
最新成果の紹介や映像上映、アルマ望遠鏡現地VR体験も予定しています。

https://www.nins.jp/site/connection/sympo27.html

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afterword
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今回は、アルマ望遠鏡によって若い星のまわりにさまざまな有機分子や
塩(塩化ナトリウム・塩化カリウム)が検出されたというニュースをお知らせ
しました。真空といわれる宇宙にもごく淡いガスが広がっていて、そのガスに
含まれるいろいろな分子がそれぞれ特有の波長で電波を放ちます。アルマ望遠鏡
は、これらの分子が放つ微弱な電波をキャッチしてその波長を分析することで、
宇宙にあるガスの成分を特定することができるのです。

これまでに、糖類分子や様々なアルコールが見つかっていて、今回は塩も発見
されました。料理に使う調味料のようですが、食べ応えのある料理にするには
タンパク質が欲しくなりますね。タンパク質の材料となるアミノ酸も、アルマ
望遠鏡が検出を目指す分子のひとつです。残念ながらまだアミノ酸発見の報告は
ありませんが、世界中で多くの研究者がアミノ酸検出を目指して研究を続けて
いますので、ぜひ長い目で見守っていただければと思います。

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