アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2019年1月21日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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pick up!
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◎回転軸の傾きがそろわない原始惑星系円盤-惑星軌道は最初から不揃い?-
理化学研究所の坂井南美氏をはじめとする研究チームは、アルマ望遠鏡を使って
若い星IRAS04368+2557を観測し、この星のまわりに傾きの異なる二つのガス円盤が
あることを突き止めました。内側の円盤に比べ、外側の円盤が少し傾いていたの
です。
実は、太陽系外惑星の中には惑星軌道が不ぞろいなものも発見されていました。
なぜ太陽系の惑星のように軌道が平面にそろわないのか、という謎については、
できあがった惑星どうしの重力作用による「古在機構」や「重力散乱」などが
提唱されてきましたが、今回の発見により、そもそも惑星が誕生した時から、
あるいは誕生前のガスや塵の円盤の段階から軌道が不ぞろいだった、という可能性
もあることが分かったのです。従来の惑星形成に関する理解を大きく変えるかも
しれない、重要な発見といえます。
http://c.bme.jp/14/924/50/5462
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topics
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◎アルマ望遠鏡子ども向けサイト”アルマ キッズ”日本語版を公開
アルマ望遠鏡のしくみや研究成果をより多くの方に楽しんでいただくために、アルマ
望遠鏡プロジェクトでは子ども向けウェブサイト ALMA Kids を制作しています。
そしてこのたび、英語版・スペイン語版・中国語版に続いて日本語版の制作を行い、
公開しました。→ http://c.bme.jp/14/924/51/5462
簡単な言葉でアルマ望遠鏡の観測成果を紹介するページや、アルマ望遠鏡や電波
天文学の基礎を解説したページもあります。お子さんに限らず、幅広い年齢の皆さん
に楽しんでいただければと思います。
http://c.bme.jp/14/924/52/5462
◎74個の銀河に3万個の星の工場 – アルマ望遠鏡が挑む銀河と星形成の謎
アルマ望遠鏡による合計750時間の観測により、74個の円盤銀河のこれまでにない
ほど詳細な電波画像が撮影されました。その中には、3万個の「星の工場」、つまり
星の材料となるガスの集合体が写し出されていました。この膨大かつ貴重なデータを
もとに、天文学者たちは銀河とその中で進む星形成の謎に満ちた関係の理解に挑もう
としています。
http://c.bme.jp/14/924/53/5462
◎謎の爆発現象AT2018cowの正体に迫る
2018年6月16日、2億光年かなたのひとつの銀河で発生した大爆発が地球でとらえ
られました。しかし、その爆発はこれまでに観測されたものとはまったく違って
いました。その正体について、研究者の間ではまだ論争が続いています。一風
変わった超新星爆発か、それともブラックホールの重力で引き裂かれた星か。
ともあれ、宇宙の中でも極めてエネルギーの高い現象が発生する瞬間を目の当たり
にしたようです。
http://c.bme.jp/14/924/54/5462
◎ALMA/45m/ASTEユーザーズミーティングを開催
2018年12月26日から27日の2日間、国立天文台三鷹キャンパスにてALMA/45m/ASTE
ユーザーズミーティングが開催されました。105名の研究者や大学院生が日本国内
及び台湾・韓国から参加し、各望遠鏡の現状と将来計画、科学成果についての
情報共有と議論を行いました。
http://c.bme.jp/14/924/55/5462
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afterword
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2019年最初のメールマガジンをお届けしました。
このメールマガジン、アルマ望遠鏡のために日本が開発した16台のアンテナにちなみ、
「月齢16」の夜にお送りしています。ところがこの数字が曲者。月齢は小数点以下
まで刻むことができるため、どの夜が月齢16か?という判断には幅があり得ます。
このメールマガジンでは、「深夜24時の月齢を四捨五入して16になる日の夜」を
発行日としています。今日24時の月齢は15.6。メールマガジンをお送りしている時間
にはまだ月齢15のほうが近いのですが、この方法で計算して本日お送りしています。
日本時間の今日お昼過ぎには、南北アメリカ大陸で皆既月食が見られました。
新年早々の1月6日には日本で部分日食が見られましたし、今年の年末12月26日には
再び日本で部分日食が見られます。チリ・アルゼンチンでは、7月2日(現地時間)に
皆既日食が起こります。残念ながらアルマ望遠鏡現地では皆既日食にはなりませんが、
日本からも日食ツアーがいくつもチリ・アルゼンチンに向けて出るようです。
地球と月と太陽の絶妙な位置関係によって起きる天文現象は、いつもこの宇宙のしくみ
と成り立ちについて思いをはせるきっかけを与えてくれます。
さて、今年もアルマ望遠鏡からは1月1日のプレスリリース「回転軸の傾きがそろわない
原始惑星系円盤」を皮切りに多くの成果が出てきています。今年も教科書を書き換える
ような、あるいは世界観を塗り替えるような成果が出てくることは間違いないと思い
ますので、ぜひご期待ください。
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