2018. 5. 31

【ALMAメールマガジン】アルマ望遠鏡、132.8億光年かなたの銀河に酸素を発見

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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン

ALMA Mail Magazine 2018年5月31日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。

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◎アルマ望遠鏡、132.8億光年かなたの銀河に酸素を発見 
― 酸素の最遠方検出記録をさらに更新

大阪産業大学/国立天文台の橋本拓也氏、大阪産業大学の馬渡健氏(現在の所属は
東京大学)と井上昭雄氏らの国際研究チームは、アルマ望遠鏡を使って非常に遠方に
ある銀河MACS1149-JD1を観測しました。その結果、この銀河が地球から132.8億光年
の距離にあることが判明しました。さらに研究チームは、この銀河に酸素が含まれ
ていることを発見しました。これまで最も遠くで発見されていた酸素の記録を塗り
替え、観測史上最も遠方で酸素を発見したことになります。ハッブル宇宙望遠鏡
などでの観測成果と合わせると、この銀河の中では宇宙誕生からおよそ2.5億年が
経過したころから活発に星が作られ始めたと考えられます。アルマ望遠鏡の高い
感度により、宇宙最初の星や銀河が生まれたその時代にまた一歩迫ることができ
ました。

http://c.bme.jp/14/924/13/5462

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topics
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◎アルマ望遠鏡の観測をもとにした論文が、通算1000本に到達

2018年4月、アルマ望遠鏡の観測データをもとに執筆された論文が、1000本に到達
しました。
アルマ望遠鏡による科学観測は2011年に開始され、最初の論文は2012年に発表され
ました。論文数は速いペースで増加を続け、直近の1年では300本以上の論文が発表
されました。つまり、アルマ望遠鏡のデータを基にした論文が平均で1日1本程度
出版されていることになります。

http://c.bme.jp/14/924/14/5462

◎日本地球惑星科学連合2018年大会にアルマ望遠鏡ブースを出展

2018年5月20日~24日に幕張メッセで開催された日本地球惑星科学連合2018年大会に、
今年もアルマ望遠鏡ブースを出展しました。地球科学・惑星科学に関連するさまざま
な分野の研究者だけでなく、高校生セッションで研究発表を行った高校生や、大学生・
大学院生など若い世代の多くの参加者にもアルマ望遠鏡ブースに立ち寄っていただき
ました。ブースではアルマ望遠鏡の概要に加え、特に惑星形成領域や太陽系内天体の
観測成果について重点的に紹介しました。

http://c.bme.jp/14/924/15/5462

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event
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◎2018年6月20日~
日本科学未来館にて、アルマ望遠鏡の常設展示がスタート。
 常設展5階「フロンティアラボ」内で、国立天文台で開発した超伝導受信機や
 建設地調査時の写真資料の他、映像やパネル展示で「みえない宇宙」を探る営みを
 紹介します。
 http://c.bme.jp/14/924/16/5462

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afterword
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月齢のめぐりあわせの関係で、今月2回目のアルマ望遠鏡メールマガジンをお届けします。

今月は、「132.8億光年先の銀河に酸素を発見」という成果がテレビや新聞で大きく
取り上げられ、話題になりました。酸素は星の中で作られ、星の死とともにばらまか
れるため、銀河に酸素が満ちているということは、この銀河の中ではすでに多くの星が
生まれ、そして死んでいるということになります。つまり、宇宙誕生からおよそ5億年
の間に、星の世代交代が進んでいたのです。さらに、この銀河の中では宇宙誕生後
約2.5億年のころから星が生まれはじめたこともわかりました。宇宙誕生から間もない
ころのようすが、次第に見えてきているのです。

この成果は、日本の研究者たちが主導する国際研究チームによってもたらされた
ものです。2016年、日本チームは131億光年彼方に酸素を発見し、当時の酸素検出
最遠記録を樹立しました。翌年、ヨーロッパの研究チームが132億光年先の銀河に
酸素を発見し、記録を更新。そして今回、日本チームとヨーロッパチームが合流し
132.8億光年先の銀河に酸素を検出、という成果にたどり着きました。

科学研究の世界では、ときに競争と協力が並び立ちます。アルマ望遠鏡は国際協力で
建設・運用されていますが、その観測時間獲得には熾烈な競争があります。しかし、
競争することが目的なわけではありません。宇宙の謎を解き明かすことがゴールなの
です。ですから、よりよい成果を生み出すために、かつてのライバルとひとつのチーム
をつくることもあるのです。「最遠の酸素」記録を更新した今回の成果は、その研究
内容もさることながら、チームの顔ぶれから、壮大な宇宙の謎に挑む人類の営みの
一端を垣間見ることもできるのです。

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