三鷹・星と宇宙の日2024 アルマパート報告
国立天文台三鷹の特別公開「星と宇宙の日2024」が、10月19日(土)に行われました。星と宇宙の日は、三鷹キャンパスの施設公開…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2019年10月15日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎初期宇宙で見つかった宇宙網 -銀河とブラックホールに恵みをもたらす宇宙の清流-
理化学研究所の梅畑豪紀基礎科学特別研究員、国立天文台の松田有一助教らの国際共同研究チームは、アルマ望遠鏡、すばる望遠鏡、欧州南天天文台の VLT望遠鏡などを駆使した観測によって、地球から115億光年離れた宇宙において、銀河と銀河をつなぐように淡く帯状に広がった「宇宙網」と呼ばれる水素ガスの大規模構造を初めて発見しました。宇宙網の観測は、銀河形成モデルを検証し、過去の宇宙における銀河と巨大ブラックホールの形成、進化を解明する上で欠かすことができませんが、宇宙網が放つ光は非常に弱く、これまで観測は困難を極めてきました。今回の成果は、初期宇宙における銀河や巨大ブラックホールの成長の源となったガスの供給機構の解明に大きく貢献すると期待されています。
https://alma-telescope.jp/news/press/cosmicweb-201910
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Topics
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◎アルマ望遠鏡がとらえた宇宙を漂う銀河の尾
今回の画像は、銀河の尾(じょうぎ座銀河団の渦巻銀河ESO137-001から外に向かって流れ出すガスの流れ)に潜む低温分子ガスの分布を初めて高解像度で示したものです。銀河の尾は、爆発的に星が形成される「火の玉」と呼ばれる領域を含んでいます。尾の中で星が形成されるメカニズムは正確には分かっておらず、今回のような低温分子ガスの分布図は、激しく変化する環境で星形成が起こる条件を知るための手がかりを与えてくれます。
https://alma-telescope.jp/news/jellyfish-201910
◎アルマ望遠鏡スタッフがブラックホール観測で基礎物理学ブレークスルー賞を受賞
イベント・ホライズン・テレスコープ(Event Horizon Telescope: EHT)による銀河M87中心にある巨大ブラックホールの『影』の撮影に対して、2020年の基礎物理学ブレークスルー賞が贈られることになりました。2019年4月に発表された一連の観測成果論文の著者347名全員が受賞者となっており、国立天文台チリ観測所の廣田晶彦助教とアルマプロジェクトの永井洋特任准教授がその中に含まれています。
https://alma-telescope.jp/news/breakthrough-201910
◎若い星の周りで見つかった”稀な”分子 -惑星形成過程に新たなヒント-
イギリス・リーズ大学のアリス・ブース大学院生らの研究グループは、アルマ望遠鏡を用いた観測によって、一酸化炭素の同位体分子種の中で最も量が少ない13C17Oという分子を、原始惑星系円盤(若い星を取り巻く塵とガスの円盤)内で初めて発見しました。その結果、この原始惑星系円盤は実際には従来考えられていたよりも2倍から6倍程度も重いことが明らかになりました。このことは、円盤内で進む惑星形成過程の謎に新たなヒントを与えることになりそうです。
https://alma-telescope.jp/news/disk-201910
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Events
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◎ 10月25日(金)・26日(土)三鷹「星と宇宙の日」
国立天文台の本部がある三鷹キャンパスの特別公開です。アルマ望遠鏡では、最新成果の紹介をはじめ、ミニ講演、ジオラマ展示、VR体験、電波ぬりえ、アルマクイズなどの企画をご用意しています。ぜひお越しください。(ミニ講演とVR体験は26日のみ)
詳細:https://www.nao.ac.jp/open-day/2019/
◎ 12月1日(日)14:00開演、科学と音楽の響宴2019
講演:見えないものが見えてきた!-アルマ望遠鏡の誕生とこれまでの成果-
講師:石黒正人(国立天文台 名誉教授)
会場:ノバホール(茨城県つくば市吾妻1-10-1)
対象:小学生以上(未就学児の入場はご遠慮下さい)
定員:800名(事前申込制、参加無料)
詳細:https://www.kek.jp/ja/kyoen/2019/
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Afterword
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今回のPick up !では、「初期宇宙で見つかった宇宙網」という話題をお届けしました。宇宙網はクモの巣状のネットワークで、銀河や巨大ブラックホールを形成・成長させると考えられています。この宇宙網を捉えるには可視光による観測が必要です。宇宙網の主成分である水素ガスは、銀河や巨大ブラックホールからの光を受けて紫外線の波長域で発光し、それが宇宙の膨張によって波長が伸びることで可視光として地球に到達するからです。これには、すばる望遠鏡が活躍しました。
では、アルマ望遠鏡はどのような活躍をしたのでしょうか。それは、活発に星を生み出す銀河や巨大ブラックホールがどこにどれだけ分布しているのかを示す地図を作ること。アルマ望遠鏡は、星の材料になる塵が放つ電波をとらえ、差し渡し400万光年ほどの範囲に18個の活発な銀河や巨大ブラックホールが密集して存在していることを明らかにしました。
異なる特徴をもった望遠鏡の協力によって、銀河やブラックホールをつなぐように広がった宇宙網の光がおぼろげながら見えてきました。
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