2019. 12. 12

【ALMAメールマガジン】大マゼラン雲における大質量星形成をとらえた

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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2019年12月12日号

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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◎大マゼラン雲における大質量星形成をとらえた
―アルマの見た「2羽の孔雀」分子雲が物語る2億年の宇宙史―

名古屋大学の福井康雄 特任教授らの研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて16万光年離れた大マゼラン雲を高解像度観測し、2つの領域でひも(フィラメント)状の分子雲を詳細に描き出すことに成功しました。生まれたばかりの大質量星を「かなめ」として扇形に広がる「2羽の孔雀」のようなこの構造は、分子雲同士が衝突した場合のコンピュータシミュレーション結果とよく一致していました。研究チームは、大小マゼラン雲が2億年前に経験した近接遭遇によって分子雲衝突と大質量星形成が引き起こされた、と結論付けました。これは、大質量の星が誕生するメカニズムの一端を解き明かす重要な研究成果と位置づけられます。
https://alma-telescope.jp/news/press/magellan-201911

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Topics
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◎謎の爆発現象AT2018cowの正体に、偏光観測で迫る

台湾・中原大学の黄麗錦氏、東北大学の霜田治朗氏、當真賢二氏、台湾・中央大学の浦田裕次氏らを中心とした国際研究チームは、アルマ望遠鏡を使って謎の爆発現象AT2018cowを観測しました。その結果、爆発が潮汐破壊現象ではなく、超新星後に形成されるブラックホール又は中性子星をエンジンとするコンパクト天体であれば観測結果を無理なく説明でき、謎の爆発現象の解明が大きく一歩すすみました。
https://alma-telescope.jp/news/at2018cow-201911

◎宇宙の渦構造によって成長する赤ちゃん星

アルマ望遠鏡を用いた研究によって、赤ちゃん星を取り巻く降着円盤で二つの渦巻き腕が発見されました。この腕があることで、円盤内の物質が赤ちゃん星に向かってぐるぐると渦を巻いて落下して行くのです。今回の発見により、降着円盤を通したガスの移動メカニズムの研究が進展すると見込まれます。このような観測は、活動銀河の中心にある超大質量ブラックホールなど、他の天体を取り巻く降着円盤についての洞察を深めるものといえます。
https://alma-telescope.jp/news/spiral-201911

◎原始惑星に引かれるガスの動きをアルマ望遠鏡が捉えた

アルマ望遠鏡を用いた研究チームは、今回初めて、原始惑星系円盤内で三次元的なガスの流れを検出しました。若い星HD 163296を取り巻く円盤内の3ヵ所で、ガスが滝のように隙間に流れ込んでいる様子を捉えたのです。この隙間は、形成中の惑星によって作られた可能性が最も高いと考えられます。このガスの流れは長い間予測されてきたもので、巨大なガス惑星がどのようにして大気を獲得するのかについての理解につながると期待されています。
https://alma-telescope.jp/news/gasflow-201912

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Events
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◎静岡科学館 る・く・る 科学茶房

日時:2020年1月13日(月・祝)13:00~15:00
会場:静岡科学館 る・く・る 8階 創作ルーム
内容:宇宙カフェ「ブラックホールが見えた!?電波望遠鏡 ALMA 最新情報」
講師:水野範和(国立天文台チリ観測所 教授)
対象:小学校高学年~大人におすすめ
参加費:無料・入館料のみ
定員:30名(事前申込制/申込順)
申込:静岡科学館(054-284-6960)へお電話でお申し込みください。
詳細:https://www.rukuru.jp/index.php

◎山梨県立科学館 星空トークショー

日時:2020年1月19日(日)15:00~16:30
会場:山梨県立科学館
内容:最先端望遠鏡で迫るブラックホールと宇宙の謎
講師:平松正顕(国立天文台アルマプロジェクト 助教)
対象:どなたでも
参加費:無料・入館料のみ
定員:160名(事前申込制/申込多数の場合、抽選)
申込:予約フォーム、または往復はがきで山梨県立科学館までお申し込みください。12月28日(土)必着。
詳細:https://www.kagakukan.pref.yamanashi.jp/event/info.php?no=122

◎国立天文台講演会 / 第24回アルマ望遠鏡講演会

日時:2020年2月2日(日)13:00~16:20
会場:東京国際交流館プラザ平成 国際交流会議場(東京都江東区)
講演:アルマ望遠鏡で迫る銀河の誕生と進化
講師:中西 康一郎 氏(国立天文台アルマプロジェクト 特任准教授)
   濤﨑 智佳 氏(上越教育大学 教授)
   井上 昭雄 氏(早稲田大学 教授)
参加費:無料
定員:400名(事前申込制/申込多数の場合、抽選)
申込期間:2020年1月7日(火)正午から1月15日(水)正午
詳細:https://www.nao.ac.jp/news/events/2019/20191212-alma-lecture.html

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Afterword
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2020年2月2日(日)、国立天文台講演会 / 第24回アルマ望遠鏡講演会「アルマ望遠鏡で迫る銀河の誕生と進化」の開催が決定しました。

これまでのアルマ望遠鏡の観測によって132億8000万光年彼方の銀河で酸素が発見され、遠方銀河の描像が大きく塗り替えられました。一方、近傍銀河では、星の材料となる分子雲の姿が鮮明に描き出されるようになり、天の川銀河周辺の研究も飛躍的に進展しています。今年の講演会では、アルマ望遠鏡と銀河研究の全体像のほか、遠方銀河・近傍銀河それぞれの専門家をお招きして最新の科学成果をご紹介します。

お申し込みは、2020年1月7日(火)~15日(水)正午まで。皆さまのご来場を心よりお待ちしています。
https://www.nao.ac.jp/news/events/2019/20191212-alma-lecture.html

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