アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
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国立天文台アルマ望遠鏡メールマガジン
ALMA Mail Magazine 2023年12月28日号
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今夜は「月齢16」。アルマ望遠鏡の話題をお届けします。
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Pick up!
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◆若い銀河円盤に伝わる地震波を検出
オーストラリア国立大学の津久井崇史氏率いる国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、
宇宙が現在の年齢のわずか10%だった頃の活発に星を作っている銀河BRI1335-0417の
銀河内の細かなガスの動きを調べ、銀河の平坦な円盤構造に地震のように垂直に運動する
振動波(銀震)が形成されていることを明らかにしました。この振動運動は外部から新たな
ガスが銀河に流入するか、他の小さな銀河との衝突によって生じると考えられます。
どちらの場合もガスが円盤に流れ込み、星形成の原材料となります。この発見は、
ガスの流入により活発に星を作り、姿を変えている銀河のダイナミックな成長を示しており、
宇宙初期の銀河成長の理解の手がかりになります。
https://alma-telescope.jp/news/dancingdisk-202312
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Topics
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◆国立天文台長および国立天文台アルマプロジェクト長がチリ大学を訪問
国立天文台は今般、アルマ望遠鏡バンド2受信機のコンポーネントの製作に関する
チリ大学/UNTEC(技術移転財団)との協定を締結しました。バンド2受信機は、
国立天文台の協力により欧州南天天文台(ESO)が主導する開発プロジェクトです。
国立天文台は、プラスチックレンズやフィードホーンアンテナなどの光学部分を提供します。
チリ大学は、国立天文台の支援によりバンド1受信機のレンズを製作した経験をもとに、
今回は国立天文台の支援でバンド2受信機のレンズを製作します。バンド1受信機の
レンズと同様に、今回の最新技術を用いたレンズは国立天文台を経由してアルマ望遠鏡に納入されます。
https://alma-telescope.jp/news/udechile-202312
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Afterword
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Pick up! で取り上げられた
◆若い銀河円盤に伝わる地震波を検出
宇宙が生まれて間もない頃(124億年前)の宇宙に存在する
銀河BRI1335-0417を観測し、銀河の平坦な円盤構造に
地震のように垂直に運動する振動波(銀震)が形成されていることを
明らかにしました。宇宙初期の銀河成長の理解の手がかりになることが
期待される観測成果です。
この銀河BRI1335-0417は 最古の渦巻き構造を持つ銀河
ということで、その観測が注目されたことがある銀河です。
ちなみに、我々が住んでいる天の川銀河も、銀河を満たしている
水素から放出される電波を観測することで、天の川銀河全体の
かたちを把握することができていて、渦巻き構造を持っていることが
知られています。
以前も触れた様に、宇宙が生まれて間もない太古の天体を観測する
ということはとても遠くに存在する天体を観測していることになります。
100億光年を超えるとても遠くの天体を詳しく観測することは大変高度な技術が
要求されますが、アルマ望遠鏡の様に、とても感度の高い電波望遠鏡システムを
使用することで、遠くの天体の様子を細かく調べることができる様になります。
現在、世界で一番感度の高い電波望遠鏡システムであることを活かし、
アルマ望遠鏡は、130億光年以上彼方の銀河に存在する酸素を捉えるという、
画期的な観測成果を挙げています。これは、宇宙誕生後間もない頃の
星の進化の研究にとって重要な役割を果たします。
アルマ望遠鏡を使用することで実現できた、
重要な遠方銀河に関する観測成果、その他上記で触れた内容
に関する記事等を紹介させていただきます。
よろしければ以下のURLからご覧下さい。
観測史上最古、124億年前の宇宙に渦巻き構造を持つ銀河を発見
https://alma-telescope.jp/news/press/spiral-202105
銀河系内の水素ガス分布の観測
https://4d2u.nao.ac.jp/movies/20080101-galaxy/
アルマ望遠鏡、観測史上最遠方の酸素を捉える
https://alma-telescope.jp/news/press/mt-post_661
アルマ望遠鏡、132.8億光年かなたの銀河に酸素を発見
― 酸素の最遠方検出記録をさらに更新
https://alma-telescope.jp/news/press/oxygen-201803
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