アルマ望遠鏡が捉えた惑星系形成の現場:惑星の外側で塵が集まり、次の惑星が生まれる様子
アルマ望遠鏡は、すでに形成された惑星の外側に、次なる惑星の材料となる塵が局所的に集まっている現場を捉えました。国立天文…
ALMA(アルマ)計画の進捗について
-組み上げ調整・試験においてアンテナの性能を確認-
ALMA計画へのご支援、誠にありがとうございます。
新聞の報道等でご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ALMA計画は以下の
ように重要なマイルストーンを達成しましたのでご報告いたします。
ミリ波サブミリ波における究極の電波望遠鏡の実現を目指して、アンデス山
脈チリ北部のアタカマ砂漠にあるチャナントール高原に、日米欧が協力して国
際的な天文施設であるアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を建設し
ています。ALMA計画の日本側の推進母体である国立天文台は、ALMAの装置のう
ち、アタカマ・コンパクト・アレイ(ACA)システム(直径12mのアンテナ4台と
直径7m のアンテナ12台で構成される高精度パラボラ・アンテナ群およびそのた
めの相関器)、ミリ波サブミリ波受信機の製作などを担当しています。ACAシス
テムは、ALMAで取得される電波写真のクォリティを飛躍的に高めます。
昨年の後半には、日本が担当する高精度パラボラ・アンテナ16台のうち3台
(直径12mのアンテナ)が現地での組み立てを完了しました。最終的には標高
5000mのチャナントール高原に設置されますが、現在は、ALMA山麓施設(標高
2900m)の場所にパラボラ・アンテナが設置され、組み上げ調整・試験が行われ
ています。
このたび、日本が製造したアンテナの一台に、日本が担当する受信機を搭載
し、観測波長2ミリメートル(周波数140ギガヘルツ)で初めて月の電波写真の
撮影を行いました。電波画像は、月面の温度分布を的確にとらえており、パラ
ボラ・アンテナが目標性能を満たしていることが確認されました。光での月の
画像では太陽からの光が月面で反射したものを見ているのに対して、電波では
月面の深さ数十センチメートル付近までの岩石の熱による放射がとらえられます。
電波画像では、月の地下の温度が場所によって違うようすが、きれいに描き出
せます。ちなみに、当該撮影は、日米欧を通じてチリ現地においては初めての
こととなりました。
ALMAの建設は日本では2004年度より8年計画として進められてきましたが、計
画通り、開始から4年が経過するこの時期に、日本が担当するACAアンテナを用
いて、日米欧で初めて電波画像が取得できました。
ALMAのすべての装置が完成すると、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の10倍
に相当する高い解像力を発揮します。2012年から予定される本格観測により、宇
宙の謎を探るのに適したミリ波サブミリ波の電波の特性をいかして、宇宙初期に
おける銀河の誕生や惑星系の誕生、そして、宇宙の物質進化に関しての重要な知
見が得られると期待されます。
今回の撮影により、アンテナの性能を確認する重要なマイルストーンを順調に
達成したことになります。
画像は、以下のホームページにありますので、よろしければご覧ください。
http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/misc/080318.html (日本語)
http://www.nro.nao.ac.jp/alma/E/misc/080318.html (英語)
国立天文台ALMA推進室
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